東京科学大学の研究チームは、折り紙技術を活用することで小型軽量化を図った「宇宙展開型フェーズドアレイ無線機」を開発、宇宙実証に成功した。高速かつ大容量通信機能を、軽量で小型の衛星に搭載できる可能性が高い。
東京科学大学工学院機械系の坂本啓教授と総合研究院未来産業技術研究所の白根篤史准教授、工学院電気電子系の岡田健一教授らによる研究チームは2026年8月、折り紙技術を活用することで小型軽量化を図った「宇宙展開型フェーズドアレイ無線機」を開発、宇宙実証に成功したと発表した。高速かつ大容量通信機能を、軽量で小型の衛星に搭載できる可能性が高い。
大容量通信に用いられるフェーズドアレイ無線機は、重たくてサイズも大きいため、これまでは小型衛星に搭載することが難しいと言われてきた。そこで研究チームは、折り紙のように小さくたたんで通信衛星に搭載し、軌道投入後に大面積へ展開できるフェーズドアレイ無線機を開発。併せて、非平面形状を電気的に補償する技術も開発し採用した。
開発したフェーズドアレイ無線機は、柔軟な展開膜上に2つの基板を貼り付けた構成である。展開膜は打ち上げ前に小さく折り畳んで収納され、軌道投入後に大きく展開される。ただ、展開膜は宇宙環境で完全な平面になるとは限らず、通信性能が低下するという課題があった。
そこで今回は、アンテナが非平面であっても電気的に補償する技術を開発し採用した。具体的には、等価等方輻射電力(EIRP)を最大化する位相を設定した。こうした補償を行ったうえで、膜面上の無線機から電波を照射してビームフォーミングを行った。そして、衛星本体に取り付けた受信機で電力を計測し、ビームフォーミング特性を確認した。使用する周波数は、次世代の衛星通信や5G/6Gでの利用を考慮し24GHzとした。
軌道上の実験では、宇宙環境において無線機が正常動作するのを確認できた。また、展開膜が完全な平面でない状態で、ビームフォーミングが可能なことも実証した。さらに、機器の温度依存性を含め、通信性能の関するさまざまな実証データが得られた。これらのデータに基づき、より大規模な展開型フェーズドアレイ無線機の開発を行っていくことにしている。
開発した無線機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革命的衛星技術実証4号機(RAISE-4)に搭載された実証テーマ「Society 5.0に向けた発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物の実証(HELIOS-R)」の一部として、2025年12月14日に打ち上げられ、2026年3月より宇宙環境でさまざまな実証を行ってきたという。
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