「2026年度版 実装技術ロードマップ」(JEITA発行)の「第2章 注目される市場と電子機器群」を引き続き紹介する。今回から「2.2 情報通信」の概要を説明する。
電子情報技術産業協会(JEITA)が2026年6月に発行した「2026年度版 実装技術ロードマップ」の概要をご報告するシリーズの第4回である。報告のベースは、2026年6月9日に開催された完成報告会(注:報告会の撮影および録音は禁止)の講演スライドだ。ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(JJTRC:Japan Jisso Technology Roadmap Council)のご協力を得て講演スライドの一部を掲載している。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。
シリーズの前回(第3回)では、「第2章 注目される市場と電子機器群」の冒頭「2.1 イントロダクション」の概要を説明した。今回からは続きとなる「2.2 情報通信」の概要説明を始める。
「2.2 情報通信」は、「2.2.1 コンピューティングの分類および動向」と「2.2.2 モバイルデバイス、メタバース」に大別される。「2.2.1 コンピューティングの分類および動向」は序文と、「2.2.1.1 光伝送技術と光トランシーバ構造」「2.2.1.2 データセンター」「2.2.1.3 量子コンピュータと量子暗号」で構成される。「2.2.2 モバイルデバイス、メタバース」は、「2.2.2.1 モバイルデバイス」「2.2.2.2 メタバースデバイス」「2.2.2.3 5Gミリ波、6G実装動向」に分かれる。
ここからは「2.2.1 コンピューティングの分類および動向」の概要をご報告したい。従来のコンピューティングでは、半導体の微細化によるプロセッサ(CPUやGPUなど)の性能向上がシステムの性能を高めるとともに情報通信と産業応用をけん引してきた。しかし現在では、半導体の微細化による単純な性能向上ペースは鈍化している。同時に電力消費の急速な増加と演算負荷の多様化によって、異なる計算アーキテクチャの併用と通信・実装基盤の高度化が求められるようになってきた。
コンピューティングのこのような構造変化は、アプリケーション層とコンピューティング基盤(層)、情報通信・実装インフラ(層)の3層構造によって全体像を俯瞰できる。コンピューティング基盤(層)は、CPUやGPUなどの古典的なコンピューティング基盤に加えてアクセラレータと量子コンピューティングが並立しており、相互に補完する関係にある。そして情報通信・実装インフラ(層)のデータセンターや光通信・光電融合、クラウド・エッジなどがコンピューティング基盤(層)を支えている。
情報通信・実装インフラ(層)の中でもデータセンターは、中核的な役割を担う。計算・通信・電力・冷却などの機能を統合したデータセンターは、社会インフラとなっている。国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターの電力消費は2024年に約415テラワット時(TWh)だったのが2030年には約945テラワット時と2倍を超えると予測される。
データセンターとともに進化しているのが、通信技術、特に光伝送技術である。データセンター内部の低遅延・大容量通信の実現手段として、光電融合デバイスとCPO(Co-Packaged Optics)の研究開発と導入が進んでいる。
実装技術ロードマップ本文では、NVIDIA、Google、AmazonのAI/HPC向けチップの開発戦略をそれぞれ簡単に紹介している。詳しくはロードマップ本体(34〜35ページ)を参照されたい。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
国際間の競争が激化する研究開発
日本政府の科学技術・イノベーション政策
JEITAが「実装技術ロードマップ」を2年ぶりに発行、電子機器やパッケージなどの技術動向をアップデート
シリコンフォトニクスと先進パッケージの統合が描く未来
AI/HPCの性能を左右する電源供給網の安定化(前編)
ネットワークの大規模化と高速化が電気から光への転換を促すCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング