Tan氏が力を入れているメモリアーキテクチャ革新のプロジェクトについては依然として詳細が不明だが、Intelが進める2つの新たなメモリ技術、XBM(Cross-Batch Memory)とZAM(Z-Angle Memory)が注目を集めている。現時点でZAMは2029〜2030年、XBMは2030年代初頭に発表される可能性がある。
XBMはバックエンドトランジスタを備えた超広帯域メモリで、HBM4と同等のフットプリントとなるように設計されている。DRAMの製造方法と接続方法を根本から見直すものだ。
HBMでは、シリコンインターポーザーを介してホストプロセッサと接続する。この方式はコストがかかるうえ、パッケージ寸法にも制約が生じる。さらに現在、その組み立てのほぼ全てをTSMCの先端パッケージング技術「CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)」に依存している。
これに対しXBMでは、インターポーザーを介して信号を伝送する代わりに、データをシリアル化してUCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)リンク上で送受信する。さらに、従来のDRAMでは1トランジスタ/1キャパシター(1T1C)のメモリセルをフロントエンドのシリコン層に形成するのに対して、XBMではこれらをBEOL(Back End of Line)に配置する。これによりフロントエンドのシリコン領域を空け、より多くのTSV(Through Silicon Via)を形成できるようにする。
一方、ZAMはIntelがソフトバンク傘下のSAIMEMORYと共同開発しているメモリアーキテクチャだ。フュージョンボンディングを用いて、各層の間に厚さ約3μmのシリコンを挟みながら、ほぼ従来型のDRAMを9層積層する。HBM4のおよそ2倍の帯域密度を目指している。
1985年にメモリではなくロジックを選んだIntelは、再びメモリ事業の原点へと向かいつつある。XBMとZAMへの取り組みは、その方向転換を象徴するものだ。AIによってメモリ市場が大きく変化したことを踏まえれば、こうした動きには合理性がある。ただし、Intelがメモリ事業に本格的に復帰するには、メモリアーキテクチャのイノベーションだけでは不十分だ。例えば、メモリチップを製造するためのインフラも必要になる。また、これまでメモリ市場への参入で何度も成功を逃してきたという心理的な重荷もある。
Intelのメモリ事業への野心については、今後さらに詳細が明らかになるとみられる。それによって、同社がメモリ事業でどの程度の存在感を示せるのかも見えてくるだろう。
同時に、ファウンドリー事業やAI向けCPUの研究開発に多額の資金を必要としているIntelが、メモリ事業への本格復帰という大規模な取り組みをどのように実行するのかも問われることになる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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