東北大学金属材料研究所の研究グループは、金属溶湯脱成分法(LMD)を用い、800℃(1073K)という比較的低い温度で、「ナノポーラスβ-炭化ケイ素(SiC)」の作製に成功した。
東北大学金属材料研究所のBian, Xiao学術研究員、和田武准教授、加藤秀実教授らによる研究グループは2026年9月、金属溶湯脱成分法(LMD)を用い、800℃(1073K)という比較的低い温度で、「ナノポーラスβ-炭化ケイ素(SiC)」の作製に成功したと発表した。
SiCは、耐熱性に優れ化学的安定性や機械的強度を有する共有結合性セラミックスだ。中でもSiCの1つで立方晶構造のβ-SiCは、半導体/電子材料や触媒、エネルギー貯蔵材料などへの応用が期待されている。ただ、SiCの合成には一般的に1200℃以上の高温処理が必要であり、同時にナノスケールの多孔質構造を形成/制御することは極めて難しかったという。
研究グループは今回、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、炭素(C)からなる層状結晶構造のMn5SiCを前駆体として、800℃の溶融ビスマス(Bi)中でLMDを行った。これによりMnのみを選択的に溶出させた。残ったSi-C骨格は再構築され結晶性β-SiCが形成された。この結果、ナノプレートが三次元的に連結した共連続ポーラス構造を得られたという。
研究グループは今後、前駆体と生成物の結晶方位関係やナノプレートの成長過程を明らかにし、構造制御につなげていくことにしている。その上で、前駆体の組成や結晶構造を設計することにより、これまで金属や金属間化合物、半金属などに適用されてきたLMDを、他のセラミックスや化合物系にも展開していく考えである。
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