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Linux搭載の腕時計型コンピュータ「WatchPad」(2/2 ページ)

» 2001年10月11日 18時22分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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 今回発表されたWatchPadは、画面にタッチパネルを内蔵した反射型のモノクロ液晶を採用しており、解像度はQVGA(320×240ピクセル)となっている。昨年10月のLinuxWorldや今年3月のCeBITで出展されたものは、液晶に有機ELを使い、VGA(640×480ピクセル)の解像度を持っていた。

 液晶が変更されたことについて、日本IBM東京基礎研究所の上條昇氏は「昨年のLinuxウォッチは、展示会用に輝度や明るさを稼ぐために実験的に有機ELを使った。あれでは、バッテリがすぐに無くなってしまう。解像度の変更は、腕時計にVGAは過剰スペックということが分かったため」と語る。モノクロLCDへの変更など省電力設計によって、「稼働時間は約1日半と実用レベルに近づいた」(同氏)。

photo 液晶はモノクロLCDを採用。省電力に貢献している

 32ビットのRISCプロセッサを採用しており、8MバイトDRAMと16MバイトのフラッシュROMを搭載する。プロセッサはIBMのPowerPCではなく、第1世代モデルと同じくARM系のプロセッサを使っているという。「将来的にはPowerPCの採用も検討している」(日本IBM)。

 入力はタッチパネルやボタンのほか、親指でコントロールできる時計のリューズを応用した入力装置を持つ。「時計のリューズ方式のメリットは、感覚的な操作ができるほかボタン方式に比べて防水性に優れている点がある」(シチズン時計)。

 また、腕の動きに反応する加速度センサーも装備している。発表会場では、WatchPadを上下に振ると、液晶に表示されたLinuxペンギンが手を振るというデモンストレーションが行われた。

 本体の下部には、指紋センサーを装備している。この部分に指を当てることで指紋による本人認証ができ、PCの所有者照合などに利用できる。

photo 親指で感覚的な操作ができるリューズ。本体下部の指紋センサー

 気になるのは、製品化の見通しと価格だが、まだ研究段階ということで、価格や発売時期は未定とのコメントだった。だが、「コストは、WorkPadの最上位モデルと同じぐらいかかっている」(日本IBM)というから、材料費だけで5万円前後というところだろうか。

photo WatchPadの分解写真。腕時計の大きさに実にさまざまなパーツが組み込まれていることが分かる
製品名 WatchPad 1.5
サイズ 46(幅)×65(奥行き)×16(高さ)ミリ
重さ 43グラム(本体のみ)
CPU 32ビットRISCプロセッサ(ARM系18〜74MHz)
表示装置 モノクロLCD(320×240ピクセル)
メモリ DRAM(8Mバイト)、フラッシュメモリ(16Mバイト)
入力機能 タッチパネル、リューズ・スイッチ、ボタン
通信機能 Bluetooth(Ver 1.1音声対応)、IrDA(Ver1.2)RS-232C(クレードル経由)
電源 充電式リチウムイオン電池
駆動電圧 2.5〜3ボルト
稼働時間 約1.5日
その他 スピーカー、マイク、バイブレーター、指紋センサー、加速度センサー
OS Linux カーネル・Ver 2.4
GUI Microwindows
Bluetoothスタック IBM BlueDrekar

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Linux | IBM | Bluetooth | 腕時計型端末 | シチズン時計


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