Circuits from the Lab/実用回路集は、アナログ・デバイセズの親会社であるAnalog Devicesが全世界で提供する設計者支援サービスである。Analog Devicesが設計者支援サービスを強化するのには、システム設計者を取り巻く状況の変化があるという。
ひとりの技術者が、アナログやデジタルというくくりではなく、高周波回路やミクスドシグナル回路を含んだ複雑なシステム設計を手掛けるようになってきた。それにもかかわらず、従来よりも開発期間の短縮がより一層、求められているという状況だ。
Analog Devicesが2009年に実施した技術者へのアンケート調査では、「技術は進化し続けているが、開発のサイクルタイムが短くなっていることが最大の変化」といったコメントや、「アナログ、デジタル、RFを1つのボードにパッケージ化するなど、より複雑な設計技術が求められている」といったコメントが寄せられたという。
上記のような幾つもの課題の解決策の1つとして同社が提案するのが、「回路の再設計を減らし、設計時間を短縮すること」である(図3、図4)。システム設計にそのまま使える情報が集約されたCircuits from the Lab/実用回路集を活用すれば、再設計の回数を減らせるというわけだ。「システム設計者に今求められているのは、試行錯誤しながら回路設計をすることや、十分な動作確認の済んでいない回路の評価することではなく、新たな設計手法の提案や新たな価値を付けることだ」(同社)。
もちろん、顧客を囲い込むという狙いもある。例えば、A社のアンプIC、B社のコンバータICといった複数のアナログICを使った場合、狙った特性が出ないといった問題が発生したときに、問題の原因がA社のアンプICにあるのか、B社のコンバータICにあるのか切り分けるのは難しい。「当社が一括して提供する情報を活用すれば、所望の特性を目指した設計作業をスムーズに進められる」(高松氏)。
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