次世代ネットワークの成長に伴い、モバイル機器を介したデータトラフィックは今後5年間で急増するとみられる。米国の市場調査会社であるParks Associatesは、一般消費者と通信事業者の間で料金体系をめぐる対立が起こると予測する。
次世代ネットワークの成長に伴い、モバイル機器を介したデータトラフィックは今後5年間で急増するとみられる。米国の市場調査会社であるParks Associatesは、一般消費者と通信事業者の間で料金体系をめぐる対立が発生すると予測する。
Parks Associatesの調査リポートによれば、「2010年に12億人だった第3世代(3G)通信の利用者数は、2015年には25億人に増える」という(図1)。さらに、「LTE」や「WiMAX」といった第4世代(4G)通信の利用者数は、現在のところ400万人にとどまるが、2015年には3億2500万人に増えると予測する。
利用者数の増加に伴って、2010年に2040億米ドルだった通信事業者の利益は、2015年には5000億米ドルに成長するとみられる。ただし、この数字を達成できるのは、送受信するデータ量に応じた料金体系が少なくとも一部の利用者に対して適用されることと、新しいM2M(Machine to Machine)アプリケーションの売り上げが期待できること、という2つの条件が満たされる場合である。
Parks AssociatesでDirector of Mobile and Health Researchを務めるHarry Wang氏は、「通信事業者各社は、ネットワークのデータトラフックの増大に対応するには、データの利用量に応じた料金体系に移行する必要があると考えている。現在は、その可変的な料金体系へ移行する初期段階にある」と述べている。
上記の通り、一般消費者には今後、データ量に応じた料金体系が課されることが予想される。Parks Associatesの調査によると、一般消費者の62%は無制限にデータを送受信できる固定料金プランを希望しており、データの利用量に応じた料金プランを支持する消費者は、わずか4%だったという。
現在、通信事業者は超小型基地局(フェムトセル)と無線LAN(Wi-Fi)の双方を利用することで、スマートフォンを含むモバイル機器のデータ需要に対応している。しかし、いずれの方式も一長一短あり、理想的とは言い難い。フェムトセルは、設置コストの理由でこれまでに設置されたのはわずか170万局にすぎない。一方、無線LANについては、設置コストは安価であるものの、携帯通信と比較すると、通信エリアや通信信頼性の観点で劣る。
通信事業者は、通信料の他にも、さまざまなM2Mアプリケーションの利用促進よって利益を上げてきた。M2Mアプリケーションは現在、医療モニタリングからオンライン自動販売機まで幅広く採用されている。
モバイル機器のデータトラフィックのうち、ここ最近で最も増えたのは動画伝送の用途だ。Parks Associatesによると、2010年後半のモバイル機器による動画伝送トラフィックは、2010年前半に比べて90%以上も増加したという。前出のWang氏は、「モバイル機器のネットワークにおいて、動画アプリケーションは手なずける必要のある獣のような存在だ」と言う。
これまでは、タブレットPCや電子ブック、ネットブックといった新しい機器の利用者はまだ少なく、ネットワークの利用者も限られていた。しかし、状況は確実に変わりつつある。Parks Associatesの調査リポートによれば、タブレットPCの購入を予定している人のうち48%が、3G通信対応の機種を購入したいと答えた。この数値は、2010年に購入されたタブレットPC全体の28%が3G対応機種だったことと比較すると、大きく上昇したといえるだろう。
なお、Parks Associatesは、2015年に出荷される3G通信対応タブレットPCは6900万台に達すると予測している。
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