ワイヤレス給電に関連した製品が、世の中に広がる今後のステップは何か。それは、ワイヤレス給電機能が、さまざまな機器にあらかじめ内蔵されることと、社会インフラへの導入が進むことである。
既に、機器への内蔵と、社会インフラへの導入を想定した取り組みは始まっている。三洋電機は、ワイヤレス給電モジュールを実装した電池パックを試作済みである。これは、携帯電話機やスマートフォンへの内蔵を想定したものだ。また、社会インフラという観点でも、Qi規格に対応した充電机が、カナダのオンタリオ州にある「Windsor International Airport」に設置されるなど、一部で導入が始まっている。
矢野経済研究所が2011年4月20日に発表した、ワイヤレス給電市場に関する国内市場の調査リポートでは、スマートフォンや携帯電話機、タブレットPCといったモバイル機器向けモジュールの国内市場は、2011年に市場が立ち上がり、普及状況は2011年に47万台、2012年には80万台に増えると予測した(図5)。
その後の状況は、Qi規格に準拠した製品の普及具合に大きく依存するとみる。2015年の出荷台数は、Qi規格が市場拡大をけん引すると仮定したケースで494万台、Qi規格の広がりに時間を要すると仮定したケースでは226万台と予測した。
Texas Instrumentsは、2011年4月18日、実装面積が1.9mm×3mmと小さいワイヤレス給電用レシーバIC「bq51013」を発表した。高い機能集積度が特徴で、フルブリッジの整流回路や電圧制御、コントローラといった複数の機能を1チップに集積した。このチップを使うことで、「基板面積を当社従来比で80%削減できる」(同社)と主張する(図A、図B)。
bq51013は、Wireless Power ConsortiumのQi規格に準拠しており、出力電力は5W。交流電力から直流電力への変換効率は最大93%である。既に提供を開始しており、1000個購入時の参考単価は、3.5米ドルである。なお、同社は送電側ICとして「bq500110」を用意している。
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