ノートPCやデスクトップPC、組み込み機器などに向けたグラフィックスLSIを手掛けるS3 Graphicsを買収する。
台湾の携帯電話機メーカーであるHigh Tech Computer(HTC)がグラフィックスLSIベンダーを買収することが明らかになった。組み込み機器向けx86プロセッサなどを手掛ける台湾のVIA Technologiesと、民間の投資会社であるWTI Investment Internationalから、両社が株式を保有する米国のグラフィックスLSIベンダーのS3 GraphicsをHTCが3億米ドルで買収する。3社が2011年7月6日に合意したことをVIA Technologiesが発表した。
HTCはこの合意に基づき、VIAに1億4700万米ドル、WTIに1億5300万米ドルをそれぞれ支払い、S3 Graphicsの全株式を取得する。S3 Graphicsは、カリフォルニア州のフリーモントに拠点を置くグラフィックスLSIベンダーで、ノートPCやデスクトップPC、組み込み機器などに向けた製品を供給している。
VIAは、自社のプロセッサやチップセットへのグラフィックス機能の取り込みを加速することを狙って、2001年にS3 Graphicsを買収した。2005年には、S3 Graphicsの事業運営と研究開発を強化するために、WTIが資本参加した。VIAの取締役会で会長を務めるCher Wang氏は、WTIの大株主である。
VIAのシニアバイスプレジデント兼取締役であるTzu-mu Lin氏は、発表資料の中で、「当社は今回の取引で、プロセッサやチップセットの開発やセールスをサポートするグラフィックス機能を保持しながら、豊富なIPポートフォリオの一部を収益化することができる」と述べている。
VIAによれば、同社とWTI、HTCそれぞれの取締役会は、今回の取引を既に承認済みだ。規制当局の承認および締結条件の最終調整を経て、年末までには取引が成立する見込みである。VIAは今回の取引で、3700万米ドルの資産売却益と1億1500万米ドルの払込資本金を計上することになるという。
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