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太陽電池の明るい未来――欧州最大の独立研究機関が最新状況報告(後編)ビジネスニュース フォトギャラリー(2/5 ページ)

» 2011年11月11日 16時50分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

ガラスは光学用途に不向き?

 IMECのプログラムマネジャーを務めるFrancesco Pessolano氏(図17)は、「ビジョンシステムにおける全てのガラス部品をシリコンで置き換えたい」と語る。

 同氏は、「Nvisionイニシアチブ」の実現に向けて、大きな野望を抱いている。例えば、一般消費者向けのオートフォーカスカメラから医療用内視鏡に至るまで、さまざまな製品に搭載されている分厚いカメラレンズを、より薄型のデジタルミラーやデジタルフィルタに置き換えることを狙う。

図17 IMECのFrancesco Pessolano氏 図17 IMECのFrancesco Pessolano氏

 Pessolano氏によると、「実際のところ、ガラスは光学用途には適していない。4枚のガラスレンズを使って焦点を合わせようとすると、さらに20枚以上のレンズを追加して補正する必要がある。このため最終的には、かなりの厚みになってしまう」という。同氏は、「IMECのデジタル光学設計技術を適用すれば、550mmのカメラレンズを126mm程度まで薄型化することが可能だ」と述べる。2012年末までには、試作品を発表できる予定だ。

 また、既存のハイパースペクトラルイメージングシステム(Hyperspectral Imaging System)は、テーブルほどの大きさがある上に、価格も5万米ドル前後と高価である。しかし、IMECのシリコンチップを使用すれば、そのサイズと価格を、消費者向けカメラと同程度まで低減することが可能だ。さらに、このチップは、処理性能を従来よりも大幅に向上することも可能だという。Pessolano氏は、2012年1月には同チップのデモンストレーションを披露できる予定だとしている。

 Pessolano氏は、開発初期の段階にある、チップベースのホログラフィックシステム(図18)のデモを披露した。完成はまだ先のことになるが、このシステムは現在の3Dテレビを置き換える可能性を秘めているという。デモでは、IMECのオフィスビルやロゴを、3D画像で表示して見せた(図19)。

図18 ホログラフィックシステム 図18 開発中のホログラフィックシステム
図19 IMECのロゴの3D画像 図19 IMECのロゴの3D画像

 こうしたホログラフィのデモは、多くの報道陣の注目を集めた。しかし研究グループによると、実用化にはまだ程遠い段階だという。

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