HPは2011年度第4四半期(8〜10月期)の決算を発表した。その中で同社は、タイの大洪水によるHDDの供給不足の影響について触れた。さらに同社は8月に「webOS」事業の打ち切りを表明しており、今回の決算ではその関連費用を計上した結果、利益が大きく減少することになった。
Hewlett-Packard(HP)が発表した決算報告によると、2011年度第4四半期(8〜10月期)における同社の純収益は2億米ドルと、前年同期比で91%も減少したという。これは、スマートフォン/タブレット端末向けのOS「webOS」関連事業の撤退、タブレット端末「TouchPad」の製造中止といった決定に絡む費用として、21億米ドルを計上したことに起因する。同四半期における売上高は321億米ドルで、前年同期比で約3%減となった。
2011年度通年の売上高は前年比1%増の1272億米ドル、純利益は同19%減の71億米ドルだった(いずれもGAAP[Generally Accepted Accounting Principles]に基づく)。
HPの重役らは、「2012年も売上高は減少し続け、2013年に入らないと状況は好転しない」という厳しい見方をしている。同社のCFO(最高財務責任者)であるCathie Lesjak氏は、「マクロ経済に対する先行き不安が世界中で広がっている。特にヨーロッパ市場では個人支出が振るわず、さらに企業支出も鈍化し始めている」と説明した。
Lesjak氏によると、「タイの大洪水によるHDDの供給不足は2012年度第2四半期に入っても続くため、PCの売り上げに影響する他、サーバの売り上げにもある程度は影響する」という。
HPのCEO(最高経営責任者)に新たに就任したMeg Whitman氏は、「タイでHDDを製造する当社のパートナー企業4社の経営者と電話で話したが、生産を全面復旧できる時期の見通しはついていないようだ」と述べている。
HPは2011年10月の時点でHDDの調達量を増やしていた。「当社はこの事態にかなり迅速に対応したため、HDDを十分確保できる見込みだ。しかし、業界全体への影響は大きい。また、2012年第1四半期と第2四半期には、HDDの不足による影響がより大きくなる可能性もある」(Whitman氏)。
HPは今後の見通しについて、1株当たりの利益(EPS:Earnings Per Share)のみを発表するにとどめるという保守的な姿勢を取った。2012年第1四半期における非GAAPベースのEPSは、0.83〜0.86米ドルを見込んでおり、2011年第4四半期の1.17米ドルからは減少することになる。また、2012年度通年の非GAAPベースのEPSは最低でも4.00米ドルとし、2011年度通年の3.32米ドルや2010年度通年の3.69米ドルからは上昇すると見込んでいる。
HPの2011年第4四半期の決算は、ほとんどの事業分野で前年同期比減となった。PC事業の売上高は前年同期比で2%減、サーバ事業は4%減、イメージング/プリンティング事業は10%減となった。
Intelのプロセッサ「Itanium」を搭載したHPのサーバの売り上げは、前年同期比で23%も減少している。HPは、「同サーバの売り上げは今後も減少し続けると予測している」との見解を示した。
Whitman氏は、「HPのBusiness Critical Server(BCS)事業グループが、Itaniumを超えるハイエンドのサーバプラットフォームを新たに開発する必要がある」と述べている。同氏は、「BCS事業の業績は悪化しているが、新しいプラットフォームが完成するまで何とか持ちこたえなければならない。緩やかなペースでの悪化とはいえ、業績が後退していることは確かだ」と語った。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.