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SiCデバイスを採用したカーオーディオパワーアンプ、「音質の次元が違う」東京モーターショー2011

インバータなどの電力効率を高める次世代パワーデバイスの用途で期待されているSiCデバイス。このSiCデバイスを搭載することにより音質を高めたカーオーディオ用パワーアンプが「東京モーターショー」に出展されている。

» 2011年12月01日 08時00分 公開
[朴尚洙,EE Times Japan]

 カーオーディオメーカーのビーウィズは、「第42回東京モーターショー2011」(一般公開日12月3〜11日、東京ビッグサイト)で、新日本無線と共同開発したSiC-SBD(シリコンカーバイド-ショットキーバリアダイオード)を搭載したモノラルパワーアンプ「Accurate A-110S II」を展示した。2012年初旬に発売する予定の製品である。

 Accurate A-110S IIに搭載されているSiC-SBDは、ハイエンドオーディオ専用の「BD01」である。新日本無線は、「量産型オーディオ機器へのSiC-SBDの採用事例としては世界初だ」としている。BD01は、新日本無線のSiCデバイス技術(参考記事)をベースに、カーオーディオ向けの最適化を行う際にビーウィズが音質評価で協力するなどして完成した。DC-DCコンバータやインバータ向けに製品化されている一般的なSiC-SBDは、耐圧が600V、電流容量が10A程度のものが多い。一方、BD01は、カーオーディオ向けということもあって、耐圧が200V、電流容量が5Aと一般的なSiC-SBDよりも小さくなっている。

モノラルパワーアンプ「Accurate A-110S II」とSiC-SBD「BD01」 写真の右側にあるのがモノラルパワーアンプ「Accurate A-110S II」。左上にはSiC-SBD「BD01」が、左下にはSiC-SBDを作り込んだウエハーがある。

 BD01は、車載鉛電池や、車載鉛電池の12V電圧を昇圧してノイズを除去するレギュレータユニットから電力供給を受ける電源ラインに設置されている。ビーウィズのモノラルパワーアンプの従来品「Accurate A-110S」は、電源ラインにシリコンベースのSBD(Si-SBD)を使用していた。BD01は、このSi-SBDと比べて、スイッチング動作時の逆回復時間が約1/3になり、逆回復電流も約1/4になっている。このため、従来品よりも高速のスイッチングを行えるようになり、「次元の異なる高音質を実現できた」(ビーウィズ)という。

 ビーウィズブースでは、Accurate A-110S IIやBD01、Accurate A-110S IIに搭載されている新日本無線のオペアンプ「BS04」を展示している他、プジョーの「308CC」にAccurate A-110S IIを搭載したデモカーでの試聴が可能である。同デモカーには、Accurate A-110S IIと接続したスピーカーを運転席と助手席、それぞれのドア部に2個ずつ設置しているだけにもかかわらず、ダッシュボードの中央から音楽が聞こえてくるような音場の広がりが感じられた。

試聴用デモカーに設置したスピーカビーウィズと新日本無線のロゴ 左の写真は試聴用デモカーの中の様子である。運転席と助手席、それぞれのドア部に2個ずつ設置しているスピーカから音声を出力している。右の写真はブース内に掲げられている、ビーウィズと新日本無線の企業ロゴ。

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