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「売上高8%増、シェア2桁狙う」、アナログ・デバイセズの12年度事業方針ビジネスニュース 企業動向

日本国内の事業方針を発表した。これまで通り、応用分野で分けた5つの市場と、企業属性で分けた1つの市場に戦略的に注力する。具体的には、応用分野では「産業・計測機器」、「ヘルスケア」、「通信インフラ」、「オートモーティブ」、「コンスーマ」の5つ。企業属性では、国内に数多く存在する中小規模のメーカー群「コアマーケット」である。

» 2012年02月03日 15時36分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 アナログ半導体の大手ベンダーAnalog Devicesの日本法人であるアナログ・デバイセズは、2012会計年度(2011年11月1日〜2012年10月31日)の事業目標として、国内の売上高を前期比で8%拡大するとともに、市場シェアを2桁(10%以上)まで高めることを掲げる。2012年2月3日に東京都内で開催した報道機関向け事業説明会で、代表取締役社長兼会長を務める馬渡修氏が表明した。市場シェアについては、同社が手掛けるアナログ半導体とMEMS製品、DSPの売上高の合算で、前年度に国内の市場規模の約8%を占めたと見積もっている。

2012年度の事業について説明する馬渡修氏 2012年度の事業について説明する馬渡修氏 Analog Devicesの日本法人で代表取締役社長兼会長を務めている。

 従来と同様に、応用分野で切り分けた5つの市場と、企業属性で切り分けた1つの市場を戦略的な注力市場と位置付ける(参考記事)。具体的には、応用分野で切り分けた5つが「産業・計測機器」、「ヘルスケア」、「通信インフラ」、「オートモーティブ」、「コンスーマ」で、企業属性で切り分けた1つが「コアマーケット」と呼ぶ、国内に数多く存在する中小規模のメーカー群である。全体的な目標の達成に向けて、これら6つの市場それぞれにおける取り組みの方針を示した。

応用分野で切り分けた5つの注力市場 応用分野で切り分けた5つの注力市場 この他に、企業属性で切り分けた「コアマーケット」をもう1つの注力市場と位置付けている(クリックで拡大)。出典:アナログ・デバイセズ

 産業・計測機器の市場については、「顧客を理解し、その領域における知識を深めることで、顧客とのつながりを強化する。そして、あらゆる分野の製品において、価値ある提案を行い、最も信頼されるサプライヤーを目指す」(馬渡氏)。この市場では、セキュリティカメラやビル管理システム、エネルギー関連機器が新たな分野として立ちあがってきており、高い成長率が期待できるという。特に「セキュリティやエネルギーは、日本の機器メーカーの技術が先端を行っている」(同氏)とみており、売上高をけん引する要素として有力視する。

 ヘルスケアの市場では、「顧客のビジネスに関する領域の知識を構築し、理解を深めることで、システムソリューションを提供できる“戦略的パートナー”になることを目指す」(同氏)とした。日本は先進国の中でも特に高齢化が進んでおり、「ヘルスケアの取り組みに世界が注目している」(同氏)。

 通信インフラの市場については、「無線通信の分野では、シグナルチェーン(信号処理経路)向け製品でナンバーワンのサプライヤーになる。有線通信の分野では、未来のブロードバンドネットワークに投資する。それにより、2014年までに無線基地局関連の事業規模を2倍に拡大することを目指す」(同氏)と表明した。

 オートモーティブの市場では、「ハイパフォーマンスで信頼性の高いソリューションを提供するメーカーを目指す」(同氏)と述べ、既存の事例として、三菱自動車工業の電気自動車「i-MiEV」に同社の絶縁IC「iCoupler」が採用されたことを挙げた。iCouplerは、シリコンチップの表面に絶縁体を挟んで対向するように積層した微小コイルを使って電気的な絶縁を確保する、磁気結合方式のアイソレータである。i-MiEVでは、リチウムイオン電池を使う電動システムに使われているという。

 コンスーマの市場については、「ユーザー体験や消費者の生活に直接影響を与える、付加価値の高い最終製品の市場で、ナンバーワンのソリューションプロバイダになる」(同氏)ことを目標に掲げた。そうした最終製品として具体的には、デジタルカメラやプロフェッショナル向けAV機器、スマートフォン、ホームエンターテインメント機器などを挙げている。

 コアマーケットでは、「顧客の設計サイクルに合わせたサポートを提供していく」(同氏)と表明した。この市場の顧客は、「設計サイクル全体を通してインターネットを活用している」(同氏)ことから、半導体の製品情報の入手から、選定、サンプル品の入手、評価、技術的な疑問の解決、最終製品の試作・量産という、設計サイクルの各工程でインターネットを活用した情報やサービスの提供を充実させる方針だ。

設計サイクルの各工程でインターネットを活用 設計サイクルの各工程でインターネットの活用を推進 この取り組みの一環として、2011年6月には自社Webサイトを日本の顧客に最適化した形で再構築したという(クリックで拡大)。出典:アナログ・デバイセズ

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