東日本大震災による打撃にもかかわらず、ルネサス エレクトロニクスが世界のマイコン市場でトップの座を維持した。タッチパネル向けマイコンを提供するAtmelなどのメーカーも売上高を伸ばしている。
米国の市場調査会社であるDatabeansによると、ルネサス エレクトロニクスは、2011年3月に発生した東日本大震災による被害で、数カ月間にわたり壊滅的な打撃を受けたにもかかわらず、2011年におけるマイコン市場のシェア(売上高ベース)のランキングで首位を維持したという。
ルネサスの2011年におけるマイコン売上高は、2010年比で約1%減となる26億2000万米ドルだった。同社のマイコン市場シェアは、2010年には17.9%だったが、2011年は17.3%に縮小した。一方、ルネサスを追うFreescale Semiconductorの市場シェアは、2010年は10%で、2011年は10.1%と微増にとどまった。このため、ルネサスが2位を引き離してトップの座を維持する結果となった。
2011年の世界マイコン市場ランキングにおいて、最も注目すべき成果を上げたのは、Atmelである。同社のマイコン売上高は前年比で25%増加し、ランキングの順位を第5位から第3位に上げた。Atmelは、成長が著しいタッチパネル市場に向けた製品を手掛けているので、スマートフォンをはじめとするさまざまな民生機器市場やPC市場からの需要が増大したと考えられる。また、タッチパネル向けマイコンを提供するAtmel、Microchip Technology、Infineon Technologiesの3社のシェアは、Atmelが7.4%、Microchipが6.7%、Infineonが6.6%と、互いに僅差でしのぎを削る結果となった。
Databeansによると、2012年におけるマイコンの用途別市場シェアは、自動車分野が引き続き最も大きく、その売上高は約60億米ドルに達する見込みだという。これは、2012年の世界マイコン売上高全体(予測)の39%に相当する。自動車向けマイコン市場は、今後も高い成長率が期待される分野の1つだ。同市場は、2017年にかけて年平均成長率(CAGR)9%で成長すると予測されている。
また、民生機器向けマイコン市場も同様に、今後5年の間に年平均成長率9%で伸びる見込みだという。ただしDatabeansによると、マイコンの応用分野別の成長率で、最も伸びが大きいのはタッチパネル向けであり、その次にスマートカード向けが続いている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.