元AppleのiPhone設計エンジニアが創業した新興企業がメモリカード型Wi-Fiノードを開発し、モノのインターネット市場に打って出た。幹部にはGoogleやFacebookに在籍したWebインタフェースデザイナーも名を連ね、Twitterへの投資で知られるベンチャーキャピタルが資金を供給する。
創業して1年の新興企業であるElectric Impは、無線LANノードの機能を標準的なメモリカードの形状にまとめたモジュール開発した。同社は、これが将来、さまざまなモノにIPアドレスを割り当ててインターネットに接続するための標準技術として普及し、無線LAN(Wi-Fi)を媒介とした「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」が確立するというシナリオを描いている。
同社は、このIoT用の無線LANノードを当初1枚25米ドルで販売する。さらに、消費者や企業に対して、手持ちの機器をこのIoTノード経由でネットワーク接続して管理できるようなサービスを提供するという。同社がデータセンターを運営し、ユーザー向けにWebブラウザベースのサービスを提供する考えだ。
Electric Impは2011年5月に創設されたばかりの新興企業で、従業員は現在7人。ベンチャーキャピタルによる初回の投資ラウンドで790万米ドルを調達したところだ。出資するのはFacebookやTwitterへの投資で知られるLowercase CapitalとRedpoint Venturesである。
Electric Impの共同創設者の1人で、CEO(最高経営責任者)を務めるHugo Fiennes氏は、同社の創設前はAppleにハードウェア部門のマネジャーとして勤務していた人物である。Appleのスマートフォン「iPhone」の開発に初代機から4つの世代にわたって携わり、その後iPhoneのアーキテクトに就任した経歴を持つ。2011年5月にAppleを退社し、Electric Impを起業するまでの短期間はGoogleに所属していた。なお同氏は、以前にも起業経験があり、具体的には車載用MP3プレーヤを手掛けるEmpegを1990年代に創設した。そのEmpegは、2000年11月にSonicBlueに売却されている。
Electric Impの共同創設者には、Fiennes氏の他、ユーザーエクスペリエンス担当ディレクターを務めるKevin Fox氏と、ソフトウエアアーキテクトであるPeter Hartley氏が名を連ねる。Hartley氏はかつて、Fiennes氏と同じくEmpegに勤務していた。またFox氏は、YahooやGoogleにデザイナーとして所属した人物で、Googleでは電子メールサービス「Gmail」のWebインタフェースを担当した。さらに同氏は、Facebookでシニアプロダクトデザイナーを務めた他、Webブラウザ「Firefox」を開発したMozillaでユーザーエクスペリエンス担当主席デザイナーだった経歴も持つ。
Fiennes氏は、EE Times誌のインタビューにSkype経由で応じ、Electric ImpのIoT製品戦略を2時間にわたって語ってくれた。
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