Fiennes氏は、Electric Impのカードソケットを備えた電源コンセントを実演して見せた。電源プラグの差し込み口の横に設けたスロットに同社のメモリカードを挿入し、Webブラウザ上に表示されるブロックに適切な設定を入力する。この電源コンセントに装飾用の照明(複数の照明灯がじゅずつなぎになったもの)を接続し、Webブラウザのボックスをクリックすると、その部分の表示が「オフ」から「オン」に切り替わって、それに該当する照明が実際に点灯する。記者もこの一連の動きをSkype経由で確認できた。
ここで同氏は、このような機器の制御は、実際にはこのデモのように手動ではなく、インターネット経由で届く情報を元に自動化することもできると強調した。そうした情報としては例えば、天気予報アプリや、湿度をはじめとした環境情報をモニタリングするElectric Impのセンサーノードの出力などを挙げる。
2つ目の応用例として同氏が示したのは、Electric Impのメモリカードを搭載したパッシブ(受動)型の赤外線センサーである。このセンサーで人の動きを検知すると、その日時の情報を、Electric Impのサーバに置いたユーザー専用のWebページに送るようにプログラムしてある。このWebページはさらに、受け取った情報をユーザーの携帯電話機に転送するように設定することも可能だ。また、人の動きが全く検知されない場合にアラームを発信するような設定もできる。これを活用すれば、例えば高齢者の宅内モニターとして、毎朝9時までの間に人の動きが無い場合は介護者にメッセージを自動送信するといったシステムを構築できる。
最後に同氏が挙げた応用は、Electric ImpのIoT機能を組み込んだ洗濯機だ。時間帯で変動する電気代をはじめとした幾つものパラメータを考慮して、洗濯機の動作を状況に応じて管理することが可能である。「洗濯機にはマイコンが必ず搭載されており、そのマイコンはたくさんのデータを持っている。例えば、そのデータを洗濯機の修理センターに送って分析し、故障を事前に察知して、エンドユーザーに前もって通知するといったサービスも考えられる」(同氏)。
Electric Imp自体は、こうしたIoT対応機器を直接手掛けるわけではない。あくまでも「シンプルかつエレガント」(同氏)な構成要素としてIoTメモリカードを提供する役割に徹し、IoT市場の活性化を狙う。
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