スイスに本社を置くABBグループや、日本のファナック、そして安川電機の米子会社であるMotoman、ドイツのKuka Roboticsといったメーカー各社が手掛ける従来の産業ロボットにも、人間の作業員との協働に対応した新たな機種が登場し始めた。例えばABBは、「Frida」と名付けたロボットが人間と並んで働くデモを公開している。Motomanも同様に、2本の腕を備え、人間の技能者と並んで実験作業をこなすロボットを開発した。
立体(3D)視の機能を搭載し、新しい作業を複雑なプログラムでの制御によってではなく、人間の作業を見て学習する――。そんなロボットを米国の新興企業が開発中だ。Rethink RoboticsやRedwood Roboticsといったロボットベンチャーである。このような新しいタイプのロボットは、自身が実行すべき仕事を、そのロボットが補助する対象の作業者から学ぶ。
Rethink Roboticsは、Massachusetts Institute of Technology(MIT)でロボット分野の教授を務めていたRodney Brooks氏が設立した新興企業である。2012年後半の発表を目標に、簡単な製造業務を遂行する協働ロボットの開発を進めており、その資金としてベンチャーキャピタルからこれまでに6200万米ドルもの融資を引き出した。同社の協働ロボットは、訓練法によって新しい作業を教え込むことができ、現場作業者の生産性の向上に役立つという。
MITでBrooks氏の研究室に所属していたAaron Edisinger氏は、MITの仲間の学生のJeff Weber氏と共に、「Domo」と呼ぶヒューマノイドロボットを作り上げた。2人はサンフランシスコでMeka Roboticsという会社を共同設立した。同社が目指すのは、人間用の道具をそのまま使いこなす人間サイズの協働ロボットである。ただEdisinger氏は、「協働ロボットは、人間と簡単に協働できるように設計すべきだが、必ずしも人型でなくてもよい」と述べており、「協働ロボットは、実体としては“知能を有する電動工具”と見なせるだろう」と話す。
さらにMeka RoboticsとWillow Garage、そしてやはりカリフォルニアを拠点とするSRI(旧社名Stanford Research Institute)は、ジョイントベンチャーとしてRedwood Roboticsを立ち上げ、2013年中の出荷を目標として協働ロボットを開発中だ。作業員が直接プログラムしたり保守したりすることができ、その生産性を高められる補助ロボットだという。
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