タブレット端末やスマートフォンが急速に普及する中、何とか勢いを盛り返したいPC市場。まもなく発売となるMicrosoftの「Windows 8」は、その大きな原動力となるのだろうか。
PC市場は、スマートフォンやタブレット端末といった、利便性が高い上に安価な携帯端末との競争が激しくなり、売上高が伸び悩んでいる。こうした中、Microsoftが新たに投入する最新OS「Windows 8」は、PC市場の基盤の強化に貢献できるだろうか?
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、2012年における全世界のPC出荷台数は、過去11年間で初めて減少に転じるとみられている。同社が2012年10月10日に発表した最新の予測では、2012年における世界PC出荷台数は、前年比1.2%減となる3億4870万台となる見込みだ。PCの出荷台数が前年比で減少するのは、2001年にドットコムバブルがはじけて以来のことになる。
これまでは、「Windows 8が2012年10月26日に発表されることで、PC出荷台数は上向く」との見方が大半だった。しかし、Windows 8がリリースされたとしても、2012年におけるPC市場の縮小を回避できるだけの十分な弾みになることは期待できないようだ。
IHS iSuppliは、PC出荷台数が減少するとの予測に至った数々の要因を挙げており、中でも世界経済の停滞を大きな原因としている。ただ、スマートフォンやタブレット端末の驚異的な成長も、PCの売り上げを低迷させた要因であるのは明らかだ。また、ここ2週間の間に、IHS iSuppliをはじめとするさまざまな市場調査会社が、「新しい形のモバイルコンピューティングの成功によって、消費者の好みが変化したことも要因の1つだ」と指摘している。
つまり、タブレット端末やハイエンドのスマートフォンは、日常用途やビジネス用途に必要なさまざまな機能の大半を提供しているので、これらの端末さえあれば事足りるというわけだ。さらに、タブレット端末やスマートフォンは便利で軽量、かつ安価な上に、特に面白みのない旧式のPCに比べて、使用したときの楽しさも大きい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.