現在行われているアップルとサムスン電子の特許裁判において、故スティーブ・ジョブズ氏のメールが公開された。本稿の2ページ目にその原文を掲載する。
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Samsung Electronicsは、Steve Jobs氏が亡くなる1年前にAppleの幹部チームに送ったメールを公開した。そのメールには、年次戦略会議で話し合う議題が箇条書きで記されている。Samsungは、同社がAppleの5つの特許を侵害しているという訴えに対抗するための証拠として、このメールを提出した。
AppleとSamsungの特許訴訟で最も興味をそそられるのは、こうした個人のメールや社内の機密文書が公開されることだ。このメール(次のページに全文を掲載[原文])からは、Jobs氏がAppleの事業について、詳細に至るまで正確に把握していたことがうかがえる。
- iPad 2
- new ID, H4, UMTS + Verizon in one model, cameras, ...
- EVT units & cases
- HDMIドングル(以下のデモを計画するために使用?)
このメールでは、Jobs氏が高度な戦略や、Googleやクラウド技術との競争の激化といった技術的な課題に注力していたことも分かる。このメールは、Appleの幹部を奮起させる目的で書かれたものだ。
- 2011年はGoogleとの聖戦の年になる
- ライバル企業に対抗するために、あらゆる手をつくす
- 「Top 100(幹部100人)」ミーティングの開催目的:プレゼンテーションを通じて、幹部一人一人に現在Appleが実施している取り組みを理解させるため
同氏は、次のようにも述べている。
- Appleは古いパラダイムに固執しすぎるきらいがある(これは、イノベータが陥りやすいジレンマである)
- GoogleとMicrosoftも技術開発を進めているが、まだ実現できていない
さらに、こうした記述もある。
- 5. iOS -- Scott, Joz
- 戦略:Android端末からの遅れ(プッシュ通知やテザリング、スピーチ機能など)を取り戻し、(Siriを始めとする)当社の強みを生かしてライバルの先を行く
Samsungはこれらを取り上げて、「Appleは、GoogleやMicrosoftといったライバル企業の先進技術を追いかけていた」と指摘し、「Samsungが、自社のスマートフォンとiPhoneを比較しながら開発を進めたことは、Appleがやっていたことと何ら変わりがない」と陪審員に訴えた。
同社はその一例として、Appleが「iCloud」を発表したのは、Googleが類似した機能のクラウドサービスを発表した後だったことを挙げている。
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