ON Semiconductor(オン・セミコンダクター、オンセミ)が、東京都内で会見を開き同社の車載関連製品の事業展開について説明。得意とするパワー半導体やドライバICに加え、モーター制御に必要な部品を1パッケージに集積したIPMソリューションを展開し事業拡大を図る方針だ。
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター、オンセミ)は2014年5月16日、東京都内で会見を開き、同社の車載関連製品の事業展開について説明した。
オンセミは1999年にMotorolaから分離独立した半導体メーカーである。パワー半導体やドライバICなどのアナログICが主力製品だが、企業/事業買収を積極的に進めることで規模を拡大している。最近では、2011年1月に三洋電機の子会社である三洋半導体を傘下に収めており、日本市場での存在感も強めつつある。なお、三洋半導体は、System Solutions Group(SSG)という事業体としてオンセミに編入されている。
同社の2013年の売上高は27億8300万米ドルで、このうち27%を占めるのが車載分野だ。2013年の車載半導体の売上高ランキング(IHS調べ)でも第10位に位置している。会見に登壇した、オンセミ日本法人でオートモーティブフィールドアプリケーションエンジニア 部長を務める佐藤明弘氏は、「日本市場では、東京都内に車載製品に対応するソリューション・エンジニアリング・センター(SEC)を設置し、SSGの群馬拠点で不具合の一次解析を行えるようにするなど、国内の車載分野の顧客を重点的にサポートするための環境を整えた。車載分野の売上高比率は、2013年の27%から、2014年1〜3月期は30%に伸びた。日本市場でも同様の伸びを記録しており、事業は好調に推移している」と語る。
オンセミの車載分野の主力製品は、他の分野と同様にパワー半導体とドライバICになる。パワー半導体では、オン抵抗が1mΩ以下と極めて低い、40〜100Vの中電圧タイプのMOSFETを個別部品として提供。車載部品の品質規格であるAEC-Q101にも準拠している。ドライバICでは、オンセミが得意としてきたブラシ付きモーターやステッピングモーター向けの製品に、SSGのブラシレスの3相モーター向けの製品が加わった。電気自動車やハイブリッド車の電動システムに用いる大出力モーターは除くものの、電動パワーステアリングから、カーエアコンのフラップ制御、電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプ、燃料ポンプなどほとんどの車載モーターに対応できるようになった。
さらに、パワー半導体やドライバIC、周辺部品を1個のパッケージに集積したIPM(Intelligent Power Module)ソリューションも高い評価を得ている。このIPMは、三洋半導体時代にはハイブリッドICと呼ばれていたものだ。日本国内では、センサレスモーターの制御はPWM(パルス幅変調)駆動を用いることが多い。この場合、制御基板にマイコンが不要になるので、MOSFETやドライバIC、周辺部品などの搭載部品を1個のパッケージに集積するIPM技術が力を発揮するというわけだ。
例えば、他社製の個別部品で構成したファン/ポンプ用センサレスモーターの制御基板は、総重量が125g、サイズが108×103mm、部品点数が170個だった。一方、オンセミのIPMソリューションは、総重量が50g、サイズが26.4×60mm、部品点数が5個だった。IPMソリューションによって、総重量とサイズは60%削減され、部品点数に至っては34分の1まで減らすことができている。
オンセミはこれらの他にも、ヘッドランプや車室内のLED照明に用いるドライバICや低電流レギュレータ(CCR)、累計10億個以上を販売しているLDO(低ドロップアウト)レギュレータ、車載LAN規格のCANやLINに準拠するトランシーバIC、SSGが2008年から販売していて累計5000万個を出荷したイグナイタ、700MHz周波数帯に対応する車車間通信システム向けのRFのバックエンドICなどさまざまな製品を展開している。
なお同社は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)に出展し、これらの製品を紹介する予定だ。
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