2014年6月に、携帯電話機向けベースバンド事業から撤退することを発表したBroadcom。それに伴い、同社の全従業員の20%に当たる2500人を解雇する。
Broadcomが2014年第2四半期のアナリストとのカンファレンスコールの中で明らかにしたところによると、同社は2014年6月2日に決定した携帯電話機向けベースバンド事業からの撤退の一環として、約2500人の従業員を解雇するという。Broadcomは同事業の買い手を見つけることができなかったようだ。また、Broadcomが今回のカンファレンスコールで利益や収益の伸びを発表することはなかった。
Broadcomは18事業所の閉鎖や統合を含む今回のリストラ費用として4億1700万米ドルを投じるが、そのうち約1億5000万米ドルを今四半期に費やす。同社のCEOであるScott McGregor氏は「携帯電話機向けベースバンド事業から撤退する決断により、Broadcomはより強い企業になる道に進む」と述べた。
Broadcomの決断は携帯電話機向けベースバンド市場の重要性を強調する他、同市場が一部の大規模なシステムメーカーやチップメーカーの手に集約されている現状を浮き彫りにする。今回の解雇では、Broadcomの1万2400人の従業員のうち約20%に相当する人員が削減されることになる。
携帯電話機向けベースバンド市場からの撤退を決定したことにより、Broadcomの携帯電話向けSoC事業の売上高はすぐに低下するとみられる。2014年第3四半期における同事業の売上高は約5000万米ドルに下落し、第4四半期にはさらにその半分になると予想されている。
Broadcomは、次の2四半期の売上高はほぼ横ばいに推移すると予測している。具体的には、約21億4000万米ドル、約20億4000万米ドルを見込んでいる。
ベースバンド事業からは撤退するが、Broadcomのパートナー企業が新製品を発表する予定であることから、BroadcomのWi-Fi/Bluetoothなどの通信チップの売上高は、次の四半期には増加するとみられている。
一方でMcGregor氏は、Broadcomがデータセンター向けに25ギガビット/秒イーサネット(25GbE)への移行を主導しているという明るい面にも言及した。データセンター向けイーサネット事業の収益は、同社のインフラ関連事業の売上高の約2/3を占める。BroadcomはUltra HD(4K/8K)向けのHEVCコーデックで主導的な地位を占めていて、2014年に入ってから複数のデザインウィンを獲得している。とはいえ、この分野で利益を得られるようになるのは2015年以降になる見込みだという。さらに、McGregor氏は同社の自動車向けチップ事業やモノのインターネット(IoT)向けチップ事業の成長に期待している。
Broadcomの2014年第2四半期の売上高は20億4000万米ドルで、同年前期比で2.9%増、前年同期比で2.3%減となった。一方で利益に関しては、2014年第1四半期の1億6500万米ドルから一転し、100万米ドルの純損失を計上した。ただし、2013年第2四半期の純損失2億5100万米ドルからは改善している。
Broadcomは過去最高となる55%の粗利益率を発表した。自社株の購入のため、以前の計画の2倍となる8億米ドル以上を投じる計画であるという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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