「iPhone 5s」をしのぐハイエンドスペックであるにもかかわらず、低価格で市場に投入されている中国のスマートフォン。台湾で開催された「Touch Taiwan 2014」では、中国のスマートフォン市場について4つのトレンドが紹介された。
台湾で開催されたタッチパネルおよび光学フィルムに関する国際展示会「Touch Taiwan 2014」(2014年8月27〜29日)では、アジアにおける技術的/政治的な緊張関係があらわになることもあったが、「目まぐるしく変化する中国スマートフォン市場において、優位性を持てるディスプレイ技術を有しているのはどのメーカーなのか」が、議論の焦点となった。
China Optics and Optoelectronics Manufacturers Associationで事務局長を務めるXin-Qing Liang氏は、基調講演に登壇し、「中国は、ディスプレイ世界市場の新たな戦いの場となっている」と述べている。中国や台湾、韓国、日本のディスプレイメーカー各社が、中国のスマートフォン市場におけるシェア拡大を狙い、しのぎを削っている。
一方で、多くのディスプレイメーカーは、とりわけ韓国を打ち負かすためには、国境を越えた協業関係を構築する必要があると考えている。ただ、これらのメーカーは、「どの企業を信頼すればいいのか」「どの企業とどのようにチームを組めばよいのか」「パートナー関係を構築した場合、最終的にどのような成果が得られるのか」といったさまざまな疑問を抱えていて、それらに対する答えを見つけられないでいるようだ。
中国視像電子行業協会(CVIA:China Video Industry Association)でバイスプレジデント兼事務局長を務めるWei-Min Bai氏は、基調講演に登壇し、「中国と台湾は、共に国際競争に直面している。このため、両国で協業関係を構築すべきだ」と述べ、その重要性を強調した。
ジャパンディスプレイの100%子会社であるTaiwan Display(TDI)の担当者は、中国のスマートフォン市場における動向について語り、日本と台湾がパートナーシップを構築することで、今後どう対応できるのかを説明した。
Touch Taiwan 2014の会場には、Samsung ElectronicsとLG Electronicsのブースはなく、両社は参加していなかったようだ。
Bai氏は中国の代表者として、韓国と日本に対抗すべく、容赦ない主張を展開した。同氏は聴衆に向けて、中国と台湾との協業関係について語り、「台湾にとって最適な戦略パートナーは、中国だ。中国に必要な情報は、有機ELディスプレイ市場に進出すべきなのかどうかという点や、AU Optronics(AUO)などの台湾メーカーが開発した他の技術を検討すべきかどうかという点である」と述べている。
Bai氏と同じく中国の代表者であるLiang氏は、「現在のところ、台湾のメーカーが半導体チップや部品を中国に供給し、中国がディスプレイを製造するという関係にある。しかし中国と台湾は、このような既存の協業関係のあり方に縛られるべきではない。上流から下流までの一貫したサプライチェーンを共に構築することにより、協業関係を築き上げるためのチャンスを模索すべきだ」と主張した。
展示会の初日に行われた基調講演の登壇者の中でも、特にTDIのチェアマン兼CEOであるTing-Chen Hsu氏は、「現在の中国市場は、われわれが知っているかつての中国市場とはまったく違う」と指摘し、中国のスマートフォン市場の動向について説明した。同氏は、講演を終えた後で大勢の来場者に囲まれていたことなどから、最も活動的で人気の高い人物であることが伺える。
「ハイエンドのスペックを備えた低価格スマートフォン」というトレンドに火を付けたのがXioami(シャオミ、小米科技)だ。このようなスマホはCoolpad、Huawei、ZTE、Oppoといった中国ブランドの間で広まった。スライドに示された全ての機種に、5インチ以上のディスプレイと、クアッドコアあるいはオクタコアのアプリケーションプロセッサが搭載されている。それにもかかわらず、価格はいずれも2000人民元(約3万5000円)以下だ。
Hsu氏は「これらのスマートフォンは『iPhone』の1.36倍の画素密度を実現しているが、価格はiPhoneの半分になっている」と述べる。
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