ノキアソリューションズ&ネットワークスは「eXperience Day 2014」で、5G(第5世代)移動体通信技術などについて展望を語った。5Gは2020年の商用化に向けて研究開発が進められているものの、実際には“中身”は、ほぼないに等しい。それでも5Gの規格策定に必要な要件は「ようやく整ったところ」だとノキアは説明する。
ノキアソリューションズ&ネットワークスは2014年10月28日、同社の戦略や製品デモを展示する「eXperience Day 2014」を都内で開催し、次世代の通信技術などについて説明した。
ノキアは、2020年までの目標である「Technology Vision 2020」として、「1人当たり、1日1Gバイトのデータ通信が可能なモバイルネットワークの構築」を掲げている。具体的には、1)1000倍のネットワーク容量、2)ミリ秒以下のネットワーク遅延、3)ネットワーク制御の自律化、4)低消費電力化、5)通信インフラのクラウド化、6)ネットワークサービスのパーソナル化、という6項目が含まれている。
ネットワーク容量を1000倍にする方法としては、2つの周波数を束ねるキャリアアグリゲーションや、MIMOなどが挙げられる。MIMOは、2×2MIMOを、4×4MIMOでは4×2MIMOにするだけでも平均で25%のスループット改善がみられるという。つまり、端末側のアンテナを増やさなくても、基地局のアンテナを増やすだけで改善できることになる。
LTEを免許不要帯域に拡張するLTE-U(Unlicensed)の技術も注目されている。現在、標準化団体が具体的に考えているのは、5.8GHz帯(Wi-Fiの帯域)にLTEのダウンリンクのみに割り当てるというものだ。さらに、免許帯域と免許不要帯域をキャリアアグリゲーションすることで容量を増加する方法が検討されている。
ノキアは2020年以降の通信技術として5Gについても言及した。標準規格が何も決まっておらず、“中身”はないに等しい5Gではあるが、同社のテクノロジー・ディレクターを務める赤田正雄氏は「要件はだいぶ集約されてきたように感じている」と話す。「これまでは携帯電話を中心にネットワークが発展していったが、5Gでは、センサーネットワーク、タクタイルインターネット*)、自動運転など、さまざまなものがつながっていく。5Gの世界では、自動車業界など、従来とは少し異なる業界も取り込まれていて、そこからの要件が5Gを後押ししている」(同氏)。
*)タクタイルインターネット:触覚デバイスなどを利用し、インターネット経由での“ふれあい”を実現するもの。ユーザーが端末に触れると、別の場所にいるユーザーの端末が振動する、といったような応用例がある。
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