25本もの講演セッションが2日半で一気に公開される「ISSCC2015」。今回は、低雑音のオペアンプ技術、電力密度を高めるスイッチドキャパシタ方式のコンバータ技術など、アナログをテーマに、注目のセッションを紹介する。
基調講演が完了すると、いよいよ一般講演が始まる。わずか2日半でテーマ別に、セッション2からセッション26までの25本もの講演セッションが進行する。当然ながら、並行して複数の講演セッションが同時に進んでいく。聴講する講演をあらかじめ決めておかないと、会場の廊下をウロウロして時間を無駄にしかねない。そこで分野別に、どのような講演があるのかを少し見ていこう。
ISSCCの講演テーマはおおよそ、以下の10本のテーマに分かれている。
半導体の機能に関するテーマと、半導体の用途に関するテーマが、混在していることが分かる。約200件の講演があるので、単純に計算するとテーマ当たりの講演数は20件(10%)になる。実際の発表件数でもテーマごとに10%前後(7%〜14%)となっており、幅広いテーマをまんべんなくカバーしていることが分かる。
今後はテーマ別に、講演の見どころとスケジュールを順次、紹介していく。今回はアナログがテーマである。
アナログをテーマとする講演セッションは3つある。セッション5(Session 5)とセッション12(Session12)、セッション20(Session20)だ。
セッション5は、2015年2月23日月曜日の午後1時30分に始まる。サブテーマは「アナログ技術(Analog Techniques)」である。アナログの基本回路となるオペアンプや基準電圧源、発振器などの開発成果が披露される。
中でも注目されるのは、アナログ半導体大手メーカーのAnalog Devicesが発表するチョッパー・オートゼロ・オペアンプである(講演番号5.1)。電源電圧は60V。ユニティゲイン帯域(3.2MHz)の外に、雑音電力の周波数成分をずらすことに成功した。チョッピング周波数は800kHzである。2相のクロックとバイアス電流トリミングによって入力オフセットを補正している。製造技術は0.18μmのCMOSと比較的緩い。
バンドギャップ基準電圧源回路では、消費電力を極限にまで下げた開発成果が出てくる。韓国のPohang University of Science and TechnologyとSamsung Electronicsの共同研究チームが消費電力29nWの基準電圧源(講演番号5.7)、米国の技術開発ベンチャーPsiKickが消費電力32nWの基準電圧源(講演番号5.4)を発表する。
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