セッション12は、2月24日火曜日の午後1時30分に始まる。サブテーマは「誘導結合電力変換技術」である。インダクタを使ったレギュレータ回路技術やワイヤレス電力伝送技術などが登場する。
このセッションでは、生体埋め込みを想定した回路技術がまず注目される。米国のUniversity of MichiganがPWM方式のバックコンバータ技術(講演番号12.3)、中国(香港)のHong Kong University of Science and Technologyがワイヤレス電力伝送技術(講演番号12.8)を発表する。
負荷条件の動的な変動に自動的に追随する誘導結合方式のワイヤレス伝送技術は、初めてのアイデアである。米国のPennsylvania State UniversityとGeorgia Institute of Technologyが共同で研究した成果だ(講演番号12.7)。負荷変動(負荷抵抗変化と伝送距離変化)に対して高い効率を維持できることを実証した。
スイッチング電源では、インダクタが電源の小型化と軽量化を阻害する。1個のインダクタで複数の出力チャンネルをまかなうSIMO(Single Inductor Multiple Output)電源は、小型化手法として期待されているものの、効率が低下するなどの問題を抱えている。ISSCC2015では、単一のインダクタで10チャンネルと数多くの出力を備えたDC-DCコンバータ技術が、高い評価を得た。韓国のKAISTが開発した(講演番号12.5)。1チャンネルの出力ごとにスイッチング周波数を設定することで、軽負荷から高負荷までチャンネル間の出力に違いがあっても、最大88.7%と高い効率を達成した。
残るセッション20は、2月25日水曜日の午前8時30分に始まる。サブテーマは「電力収穫技術とスイッチドキャパシタ(SC)技術」である。前者は、「エネルギーハーベスティング」と呼称される、屋内照明や機械的振動などのエネルギーを電力エネルギーに変換する技術のこと。後者はスイッチドキャパシタ方式のコンバータ技術を指す。
このセッションで注目の講演は、電力密度を大幅に高めた共振形スイッチドキャパシタ方式のDC-DCコンバータ技術である。米国のDartmouth Colledgeが開発した(講演番号20.2)。出力は最大7W、出力の面密度は1平方ミリ当たりで0.91Wと高い。プリント配線による1.1nHのインダクタ技術と、フリップチップ実装技術を駆使した。半導体チップの製造技術は0.18μmのCMOS。
32nmのSOI CMOS技術という、最先端に近い製造技術を駆使したオンチップのスイッチドキャパシタ方式レギュレータ回路も注目を集めそうだ。スイスのIBM Researchが開発した(講演番号20.3)。最大出力は10Wと高い。メニイコアプロセッサへの埋め込みを想定した。
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