2014年の大きなトレンドの1つは、間違いなくモノのインターネット(IoT)やウェアラブル機器だろう。だが筆者は、自分の脈拍や睡眠パターンをいちいち測定されることに、いまいち喜べない。
誇大広告であれそうでなかれ、モノのインターネット(IoT)が2014年のトレンドであったことは逃れようのない事実である。ウェアラブル機器にも同じことがいえる。
2014年11月に発行されたMorgan Stanley Blue Paperによると、IoTが「より個人向けになり、より(M2Mのような機械寄りではなく)モバイル機器寄りになる」中、ウェアラブル機器は「最も急速に成長する技術の機器」になるという。
この予測に疑いはない。
Morgan Stanleyのウェアラブル機器に関する予測は楽観的だ。同社のアナリストらは、ウェアラブル機器の出荷台数が2013年の600万台から154%の年成長率で成長し、2017年には2億4800万米ドルに達すると見込んでいる。Blue Paperでは、この予測について「業界の予測の2倍以上であるが、それでもまだ控えめだと言ってよい」と述べられている。
これに加えて、Morgan Stanleyは「出荷台数は2020年に10億台に達する」という強気の予測をしている。Blue Reportによると、業界の専門家の多くがこれまで長い間予測してきたように、IoT/ウェアラブル機器の導入は、保険業界やヘルスケア産業で加速するという。
Morgan Stanleyが指摘したように、製造会社が従業員を効率的に監視したい場合や、工場のプロセスを改善したい場合は、各従業員に装着させたウェアラブル機器が功を奏するかもしれない。それは確かに多くの企業にとって好都合だ。
ではユーザーは、どのような利益を得るのだろうか。個人のユーザーは、どのようなきっかけがあれば、ウェアラブル機器を本格的に導入するようになるのだろう?
現在のIoT/ウェアラブル機器は、大抵スマートフォンやタブレット端末と連携する。そのような機器は個々のIoTエンドノードによって収集されたセンサーデータを解析するアプリを搭載している。そして、モバイル機器はさらなる分析のためにIoTデータをクラウドに送信する。
どちらにしても、スマートフォンと連携するIoT機器に、好ましくない点は何ら見当たらない。だが、ここが難しいところである。既存のIoT機器の多くは、まったく効果がないとは言わないまでも、洗練されておらず、“自分勝手”である。
そう思うのは筆者だけかもしれないが、人々がなぜ、自分自身の測定にそこまで夢中になるのか理解できない。
現在手に入るウェアラブル機器の多くは、個人的な運動レベルや健康状態を何もかも(体重、心拍数、血圧、睡眠パターン、活動、血糖値など)追跡するよう作られている。そのような自己陶酔的なアプリは、全てのデータを、見栄えのよいグラフで示す。日常生活の“スナップショット”は、インフォグラフィックへと変換されるわけだ。著者も、例えば自分の脈拍が表示されることに喜ぶべきなのだろう。
もちろん、自分の健康状態を知ることは、エクササイズを増やそうといったモチベーションになるだろう。自分の睡眠パターンが悪ければベッドを買い替えるかもしれない。だが、日常生活の中には、自分のリストバンドやスマートフォンに表示される睡眠データなど、できれば見たくないものもある。
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