日本電波工業は、「マイクロウェーブ展2014」でツインOCXO(Twin Oven Controlled Crystal Oscillator)や、車載GNSS向け小型SAWデバイス、77GHz帯プレーナ型ガンダイオードVCO(電圧制御発振器)などを参考展示した。
日本電波工業は、「マイクロウェーブ展2014」(2014年12月10〜12日、パシフィコ横浜)において、無線通信基地局などGPS同期システムのネットワーク品質劣化を低減することができるツインOCXO(Twin Oven Controlled Crystal Oscillator)を始め、車載GNSS向け小型SAWデバイス、77GHz帯プレーナ型ガンダイオードVCO(電圧制御発振器)などを参考展示した。
同社は、システムの性能/品質改善に向け、高精度な水晶振動子や発振回路を基盤技術として、デジタル信号処理技術などにより性能を高めるなど、付加価値の高い水晶発振器の開発、供給に力を入れている。ブースでも開発中の製品を中心に、最新の技術や製品を参考展示した。
その1つがツインOCXOである。TD-LTE通信基地局におけるHoldover規格に対応している。Holdover「±1μs」以下を達成しているため、NTPサーバなどにおける信号発生器の基準クロック源に用いることができる。IPTVやオンラインゲームなどGPSに同期して周波数を自動修正する用途に向ける。
「これまでは、GPS信号と同期させて周波数を安定に保つための回路をシステム側で設計し、組み込む必要があった。ツインOCXOを用いると、GPSと同期させるための十分な経験やノウハウがなくても、システム設計が可能になる」(説明員)と話す。
今回は、ダブルケース構造とすることで精度を高めたHoldover「1μs/8時間」対応のツインOCXO、このツインOCXOとPLL回路およびエージング特性の学習/補正機能をモジュール化することで「1μs/24時間」に対応する1pps同期OCXOモジュールを参考展示した。機器のメンテナンスフリーに貢献できるという。2015年度よりサンプル出荷を始める予定だ。
SAWデバイスは車載GNSS向けと、LTE-Advanced向けの2種類を参考出展した。車載GNSS向けの1.5GHz帯SAWデバイスは、PCBをベース基板とした独自のウエハーレベルCSP構造により、外形寸法が1.4×1.1mmの小型パッケージとした。熱ストレスなどにも優れ、車載用電子部品規格であるAEC-Q200の温度サイクル試験で既に2000サイクルをクリアしているという。LTE-Advanced向け3.5GHz帯SAWフィルタは、櫛歯電極スペース幅間隔を0.28μmと微細加工することで実現した。外形寸法は3.0×3.0×1.45mmである。
さらに、ブースで注目を集めていたのがガンダイオードを用いた77GHz帯VCOと、これを応用したセンサー向けトランシーバである。77GHz帯VCOはプレーナ型ガンダイオードとバラクタ素子を同一平面に実装する構造とした。外形寸法は13×14mmと小さい。出力は20mWと高く、位相雑音(1MHz離調時)は代表値で−105dBc/Hzと低い。
77GHz帯VCOを用いたセンサーとして、検波器やドップラーセンサー、FMCWセンサーなどを紹介し、デモ展示などを行った。検波器は検知範囲内における物体の有無を検知することができる。応用例として水分量の検出センサー、セキュリティ関連での警戒センサー、駐車場などにおける車両認識センサーなどを挙げた。ドップラーセンサーは物体の動きと速度を検出することができるため、スピード計測や近接警告、生体センサーなどに応用することが可能だ。FMCWセンサーは物体の距離と速度を検知することができる。このため、距離計やタンク内の水位計、介護用の見守りセンサーへの応用を期待している。
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