ロームは、国際カーエレクトロニクス技術展において、トレンチ型構造の第3世代SiC(炭化ケイ素)MOSFETを紹介した。現行品に比べてオン抵抗をほぼ半分に低減した。
ロームは、国際カーエレクトロニクス技術展(2015年1月14〜16日、東京ビッグサイト)において、トレンチ型構造の第3世代SiC(炭化ケイ素)MOSFETを紹介した。第2世代品に比べて、同一チップサイズであればオン抵抗をほぼ半分に低減した。
同社はSiCを用いたMOSFETやダイオードの実用化で先行し、現在は第2世代品を供給している。これまでのMOSFETはプレーナ型構造であったが、第3世代のSiC-MOSFETはトレンチ型構造を採用している。第2世代品は耐圧1200Vで、オン抵抗が45mΩであったのに対して、第3世代品では耐圧1200Vでオン抵抗を22mΩとした。耐圧650Vであれば、オン抵抗は17mΩまで下げることができるとしている。
単位面積当たりのオン抵抗を小さくしたことで、インバータのパワー密度を向上することができるという。高速スイッチングも可能となる。チップ単体のコストはシリコン系のチップに比べてやや割高感はあるが、「モジュールとして発熱を抑えることができ、冷却装置を簡素化できることから機能ブロックとしてコストダウンが可能となる」(説明員)と話す。第3世代SiC-MOSFETの製品供給については、2015年中に量産化したい考えだ。
現在は、EV向けの充電ステーションや給電システム向け、太陽光発電用パワーコンディショナといった用途で採用が広がっているという。今後は、SiCショットキーバリアダイオードなども含めたフルSiCモジュールで、IGBTの置き換えなどを狙う。
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