ただ、これまでの技術では、指とペンなどのスタイラスとの違いを見分ける程度の太さの検知は行えたものの、細かな筆圧は検知できなかった他、あるスタイラスは黒色の線、またあるスタイラスは赤色といった、複数のスタイラスで、色を使い分けて同時に記入するような使用はできなかった。こうした要件は、複数の人が入力を行う機会が多い電子黒板などでニーズが高いものだ。
今回、シャープがISSCC 2015で発表したのは、従来の並列駆動式のタッチパネルシステムを、無線でタッチパネルシステムと通信する「アクティブ型スタイラス」に対応させたもの。複数のスタイラスを見分けて検知し、それぞれのスタイラスに応じた色や太さの線や文字を表示できるようにした。
アクティブスタイラスとタッチパネルの通信は、携帯電話機開発などで培ってきた符号分割多元接続(CDMA)を用いることで、複数のスタイラスとの同時通信を可能にし、時分割では生じる検知の途切れや遅れをなくした。
さらに、これまでの相互容量検出方式を、自己容量検出方式に変え、タッチパネル面から指やスタイラスが浮いた状態でも検知するホバー機能を実現。アクティブスタイラスには、自己容量に信号を与える機能を付加することで、より精度の高い検知を実現することができ、スプレーなどの表現も可能になるという。
開発したアクティブスタイラス対応のタッチコントローラICは500kHzで動作を行い、240Hzの速度でタッチ検出を行う。そのため、透明導電膜(ITO)タイプのタッチパネルセンサーでは対応できず、メタルメッシュタイプでの使用に限られるという。
またアクティブ スタイラス側のICは現在開発中で、「IC化した場合には、単6電池1本でおおよそ1000時間の電池寿命が実現できる見込み。顧客からの要望次第ですぐに開発した技術を盛り込んだタッチパネルシステムを実用化できる水準にある」(シャープ)としている。
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