東京都新宿区の神楽坂に、東京理科大学近代科学資料館がある。この資料館、実は、小石や算木から日本初の大型商用コンピュータまで、さまざまな年代の計算機を数多く所蔵しているのだ。意外と知らない計算機の歴史を、同資料館の展示品とともにたどっていこう。
「数を数える」という行為は、はるか昔から、どの国や地域でも行われてきたようだ。今でも、私たちは毎日のように数を数えたり、計算したりしている。電卓やPCを使った大げさな計算じゃなくても、「今月は、これくらいページ閲覧数が足りない」「楽しみにしているライブまで、あと何日」など、あまり意識せずに計算している場合も多い。
誰もが最も手軽に使っている計算機といえば、電卓だろう。3月20日は「電卓の日」だった(関連記事:日本半導体産業の立役者! 「電卓」の奥深い世界)。せっかくなので、それを記念して、紀元前から現在に至るまでどんな計算道具が使われてきたのかを簡単にたどっていきたい。
というわけで訪れたのは、東京理科大学近代科学資料館(東京都新宿区)だ。明治時代の建物を復元したもので、中には江戸時代の算木やローマのそろばん、年代ものの手回し計算機、世界初といわれる電卓、非常に珍しいアナログ微分解析機などがずらりと展示されている。計算機マニアにとっては垂ぜんもの、そうでない人にとってもかなり興味深いコレクションがそろっている。
近代科学資料館では、「石ころからリンゴへ」というキーワードで、東京理科大学の学生たちが展示品の説明をしてくれる。ん? 何でリンゴ? まさかAppleのことじゃありませんよね?
初期の計算道具として登場するのは、小石や動物の角、まきびし、わら、算木などである。身の回りの物で簡単に作れる道具を使って数を記録し、計算していた。ラテン語では、小石を「カルキュラス(calculus)」という。計算機「カルキュレータ(calculator)」の語源となった言葉だ。まさに、計算機の起源は小石だったのである。
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