それから、化合物半導体デバイスに関する研究成果を3件、紹介した。初めは、窒化ガリウム(GaN)化合物半導体を主要材料とする高移動度トランジスタ(HEMT)の研究成果を採り挙げた。発表者はIntel。高効率のレギュレータや高周波のパワーアンプなどに向けた。
これまで試作されてきたGaN HEMTのほとんどはデプレッションモード(ノーマリーオン)で動作するため、消費電力の低さを重視するSoCには適さない。Intelは、高誘電率のゲート絶縁膜を備えたエンハンスメントモード(ノーマリーオフ)のGaN HEMTを作成し、低消費電力用途への可能性を開いた。
2件目は、CMOS互換のプロセスで製造した、シリコンゲルマニウム(SiGe)化合物のFinFET方式pチャンネルMOSトランジスタである。発表者はIBM。SOI(Silicon on Insulator)技術のSiをSiGe化合物に換えることで、高移動度のトランジスタを実現した。Geの組成比を最大で71%と高くすることで、pチャンネルのキャリア移動度を向上させている。SiGeのフィンには直接、高誘電率ゲート絶縁膜と金属ゲート(HKMGプロセス)を形成した。
3件目は、インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)化合物半導体をSi基板上の絶縁層に形成したMOSFETである。発表者はIBMとEMPA。Si基板上にInGaAs化合物半導体デバイスを形成することで、既存のSi LSIと高移動度のInGaAsデバイスと同じシリコンダイ上に集積可能になる。この研究では、Si基板の絶縁膜上に高品質の化合物半導体結晶をエピタキシャル成長させる技術(CELO:Confined Epitaxial Lateral Overgrowth)を開発したことがポイントである。
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