ユニット型電源のHMSシリーズは、電力プラント制御機器や、無停電電源装置、発電機などの用途に向ける。DC入力電圧範囲が80〜370Vと、下限値を80Vまで引き下げたところが最大の特長となっている。TDKの従来シリーズでは、下限値が90Vだった。DC入力電圧範囲の下限値は「120Vというのが一般的」(TDK)なので、90Vでも低かったのだが、それをさらに10V下げたことになる。同社によると「80Vは、相当低い」という。こちらもCCGシリーズと同様、「バッテリーをなるべく最後まで使えるようにしている」(TDK)。
TDKは電源分野で新しいシリーズの発表や、従来シリーズの拡張に力を入れる。そこで今回のTECHNO-FRONTIERでは、CCGシリーズ、HMSシリーズなどの新製品以外に、「今後、どのようなシリーズを開発し、発表していくのか」を示すべく、2016年春までに発表する予定の電源も併せて披露した。DINレール取り付け専用電源「DRJシリーズ」(2015年夏に発表予定)、オンボード型のAC-DCスイッチング電源「KWS-Aシリーズ」(秋)、1Uフルラックの絶縁型DC-DCコンバータ「EZAシリーズ」(2016年春)などがある。


左から「DRJシリーズ」、「KWS-Aシリーズ」、「EZAシリーズ」。DRJシリーズは、従来シリーズに比べて体積比を45%低減した。KWS-Aシリーズは、ヒューズや電解コンデンサなどの外付け部品が不要で、88%の高率を達成している。EZAシリーズでは、最大出力電力が11kWのモデルを開発中だ(クリックで拡大)TDKによれば、電源は、標準モデルでは市場全体の2〜3割程度しかカバーできない、特殊な市場だという。あとは顧客のニーズに合わせてカスタマイズしていくことになる。そのため、“標準品”として販売するシリーズを拡張すれば、これまで提案しにくかった用途も視野に入れられる可能性がある。顧客側から見れば、標準品を使えればカスタマイズのコストを削減できるメリットも生まれる。TDKが電源シリーズの拡張に力を入れるのは、こうした背景がある。
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