さて、今回、ネットを使った調査結果を行ったのですが、「ダイエット vs. 私たち」の闘いにおいて、私たちの「圧倒的な敗北」の実態が定量的に明らかになったと思います。
今後は、これらの調査結果を、行動学や心理学から裏づけしたいと考えています。
また、「人体」のメカニズムを理解するためには、化学や生物学からのアプローチも必要になると思いますし、ダイエットの効果を論理的に理解するためには、数学、物理学の適用も不可欠です。
何より、「系」としての人間の身体を理解するには、システム工学による理解も必要です。
さらに、このような「人体」というロバストなシステムを作ってきた環境要因として、地球環境も考えてみなければならないでしょうし、内部要因としては、進化論、遺伝子の話を抜いては、説明できないでしょう。
さらに、高カロリー食品に取り囲まれたこの社会を理解するのには、歴史や市場経済の理解も必要ですし、加えて言えば、肥満から派生する医療問題、健康問題、財政問題という観点からは、政治学も避けて通れないでしょう。
つまり、「ダイエット」とは、
―― それを理解すれば、ほぼ全方面の学問を履修できる
という「一粒で何度でもおいしい」なんともお得な学習題材なのです。これを使わん手はないと思うのですよ、厚生省、財務省、文部科学省、内閣府の皆さま。
本連載の目的は、「私たち人類は、ダイエットに失敗しなければならない」という仮説の立証にありますが、それは「あなたにダイエットを断念させること」を目的としているのではありません。
私が申し上げたいことは、「ダイエットとは、史上最強の敵との闘い」であるということなのです。
そして、私たちの敵として立ちふさがる「人間の身体と心」は、世界最強の高精度ロバストシステムであることを十分に認識していただいた上で、
―― このシステムを破壊することなく、その平衡点(体重等)を移動させる(減失させる)戦略をご提示したい
と考えているのです。
では、また来月お会いしましょう(恒例の「後輩によるツッコミ」は、次ページから)。
アンケートご協力のお願い
本連載を続けるに当たりまして、ダイエットに関するアンケートに応じていただけるボランティアの方を募集しております。私のホームページの日記から、ご応募いただけければ幸いです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.