今回は、10nm世代にArF液浸露光技術を適用する場合の2つ目の課題である「製造コストの急増」に焦点を当てる。ArF液浸露光技術とEUV(極端紫外線)露光のコストを比較すると、どんな結果になるのだろうか。
前編では、リソグラフィ技術の将来を14nm世代から5nm世代まで展望するシンポジウム「Making Sense of the Lithography Landscape: Cost and Productivity Issues Below 14nm and the Path(s) to 5nm」から、ニコンのStephen Renwick氏による講演「193 Immersion Lithography at the 10nm node and Beyond」の前半をご紹介した。
本稿(後編)では、Renwick氏による講演の後半をご報告しよう。前編の後半では、10nm世代以降の微細なパターンを量産するときには露光装置(スキャナー)のオーバーレイ(重ね合わせ)誤差が量産の可否を左右することと、露光の繰り返しによってスキャナーのレチクルとレンズが加熱されて変形することがオーバーレイ誤差を変動させることを説明した。
ニコンではこの対策として、「高速マルチポイントPMI(Phase Measurement Interferometry)」と呼ぶ技術を開発した。ロットの露光を繰り返している途中でオーバーレイ誤差を測定し、レンズの位置を微調整して補正をかける技術である。スキャナーのスループットをそれほど損なわずに、補正を実行できるという特徴を有する。
この技術を導入したところ、かなり極端な(悪い)条件でも、オーバーレイ誤差をウエハー間で3nm未満に抑えることができた。10nm世代以降のCMOSロジックの量産に十分な性能である。
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