「いずれにしても、Intelが1990年代後半にネットワーク/通信企業の買収を繰り返した時ほどは、ひどい結果にはならないだろう」と複数の業界アナリストは、EE Timesに対して語っている。
その中の1人、米国の市場調査会社であるInsight 64で主任研究員を務めるNathan Brookwood氏は、「Intelは、1998年〜2005年にCEO(最高経営責任者)を務めたCraig Barrett氏の時代に、数多くの通信系ハードウェア企業を買収したが、Paul Otellini氏がCEOに就任した後は、その大半を投げ売った」と説明する。
Intelが派手な買収を繰り広げていた当時の様子について見てみよう。
Intelは1999年、22億米ドルという大金を投じてLevel One Communicationsを買収し、自社のNetwork Communications Groupに属する完全子会社とした。
また1999年には、CDMA/TDMAベースバンドプロセッサメーカーであるDSP Communicationsを16億米ドルで買収している。DSP Communicationsも、IntelのComputing Enhancement Groupに属する完全子会社となった。
さらに同年、コンピュータテレフォニー製品の開発を手掛けるDialogicを7億8000万米ドルで買収し、IntelのEnterprise Server Groupの子会社としている。
そして2000年には、13億米ドルを投じて、デンマークの光ネットワークチップメーカーであるGIGAを買収し、Level One Communicationsに属する子会社とした。
米国の市場調査会社であるForward Conceptsでプレジデントを務めるWill Strauss氏によると、Intelが1999〜2001年の間に、前述の企業の他、小規模な通信機器メーカーなどを買収するために費やした金額は、合計で100億米ドルに達するという。同氏は、「こうした数々の買収の中で、Intelに利益をもたらしたり役に立つなどしたものは、ただの1つもなかった」と述べる。
Intelが買収したこれらの企業に、一体何が起こったのだろうか。
Strauss氏は、「買収された企業の大半は、Level One CommunicationsのようにIntelに吸収され、そして消えていった。中には、売却された企業もある。例えばDSP Communicationsは、ARMベースの『StrongARM』アーキテクチャと併せて、6億米ドルでMarvell Semiconductorに売却されている」と述べている。
また同氏は、Intelが通信ソフトウェアソリューションプロバイダであるTrillium Digital Systemsを3億米ドルで買収した件についても取り上げ、「Intelはその後、Trillium Digital Systemsを約1000万米ドルで売却した。その売却先の企業は、後にRadisysによって買収されている」と述べる。
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