この段階でも、なお私は、「日本で起業した外国の若者が、がんばっているんだなー」と信じている、脳内お花畑全開状態の大バカ野郎でした。
しかしよくよく考えれば、(a)正しい日本語でメールが書けない、(b)法人格を有していない、(c)今どきクレジットカード決済ではない、というだけでも、即アウトと判断しなければならないところです。
私はAmazon、楽天などの著名サイトの信用力を、ネット全体にまで広げてはならなかったのです。
私からわざわざ入金の連絡をしたのに、その返事がきたのは翌日でした。サービス至上主義のわが国において、そのような不誠実な顧客対応をしたら、普通は大変です。上司から怒号の嵐です。日本とはそういう国です。
しかし、その時でさえ私は、「そうか、まだ日本の文化に慣れていないんだなー。これから苦労するだろうが、がんばるんだぞ」と心の中で励ましているほどでした。
しかも、信頼感を高めるために、「ご不明点やご注文内容の変更は、直接ショップまでお問い合わせください」などと書いてきています。通常、注文確定後の変更なんぞできませんが、私は「なるほど、これが新しい差別化サービスか」と感心していたくらいでした。
ただ、気になったのが「7日以内」という言葉でした。前のメールでは「3〜5日」と書いてあったはずです。そもそも都内配送であれば、1日あれば十分です。「チクッ」と不信感を感じてきたのは、この辺りからでした。
加えて、ちょうど嫁さんが娘2人を連れて、嫁さんの実家に帰省しており、朝から深夜まで家には誰もいない状態が続いていました。ですから、私は毎日、帰宅時に、運送会社からの不在通知を確認するために郵便ボックスを確認していましたが、そのようなものは一切入っていませんでした。
その7日目に、私は、再度「馬越綾子 umakoshicooks@hotmail.com」宛にメールを送付しました。
「納期になっても商品が届かんので、状況を教えろ」を、丁寧に書いたものです。しかし、その日、疲れ果てていた私は、そのメールを送付した後、布団に倒れ込みました。
そして私は、本文の冒頭、7月29日の朝を迎えることになるのです。
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