今回は、露光の際にシリコン・ウエハー周辺部で発生する現象「パーシャルフィールド」をもう少し掘り下げて解説しよう。このパーシャルフィールドについてキヤノンは、3種類に分けて対処しているという。
SEMICON West 2015リポートの第8回から、キヤノンがナノインプリント・リソグラフィ開発の状況を講演した内容をご報告してきた。講演タイトルは「Nanoimprint System Development and Status for High Volume Semiconductor Manufacturing」、講演者はキヤノンの米国子会社Canon Nanotechnologiesでマーケティングおよび事業開発担当のバイスプレジデントを務めるDouglas J. Resnick氏である。
前回では生産性(スループット)と欠陥密度の関係を説明したほか、ナノインプリント・リソグラフィ技術には特有の課題「パーシャルフィールド」が存在することを指摘した。
「パーシャルフィールド」とは、シリコン・ウエハーの周辺部では露光領域に対してウエハーの領域が不足し、実質的な露光領域が部分的(パーシャル)になるフィールドを指す。これは露光領域が長方形であるのに対し、ウエハーが円形であることが原因である。
直径300mmのシリコンウエハーで、露光領域が横26mm×縦33mmであり、露光領域間の境界線(ストリート)が幅0.05mmだとすると、露光領域の総数は84カ所になる。その中で26カ所がパーシャルフィールド、残りの58カ所が露光領域全体をウエハーでカバーする領域(フルフィールド)になる。フィールド数の31%が、パーシャルフィールドだということだ。これは無視できない数だ。シリコンダイの収量を稼ぐためにはフルフィールドだけでなく、パーシャルフィールドも活用することが量産コストを下げる前提となる。
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