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ナノインプリント開発の進展状況をキヤノンが講演(4)〜「パーシャルフィールド」への対処SEMICON West 2015リポート(11)(2/2 ページ)

» 2015年09月15日 10時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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パーシャルフィールドが抱える課題

 ただしパーシャルフィールドでは、フルフィールドと違ったプロセス・パラメータが要求される。例えばフルフィールドではレジストを露光領域全体に滴下できるが、パーシャルフィールドでは、レジストを滴下可能な領域が限定されている。そして滴下可能な部分のサイズや形状などが個々のフィールドごとに違う。つまり、滴下条件がフィールドごとに異なる。

 またパーシャルフィールドでは個々に形状が違うので、レジストをフルに充てんするまでの所要時間が違う。講演者のResnick氏は触れていなかったようだが、たぶん、テンプレートの最適な加圧条件も違う。26カ所のパーシャルフィールドに対して個別に対応していたのでは、パラメータの扱いが複雑になりすぎる。

photo パーシャルフィールドでレジストが充てんされる様子とウエハー上の位置。左がレジストの動き。4コマの写真で示した。最も左がレジストの滴下直後で、右に向かって時間が進行する。なお数字の%は、露光領域面積の何%をウエハーが占めているかを示す。右はウエハー上におけるパーシャルフィールドの位置(クリックで拡大)

パーシャルフィールドを3種類に分けて対処

 講演者のResnick氏は、パーシャルフィールドをその大きさに応じて3種類に分けて対処していると説明した。「ラージ(大)」と「ミッドサイズ(中)」、「スモール(小)」である。

 「ラージ(大)」は、ウエハー部分が露光領域の70%を超えるフィールドを指す。この場合は、フルフィールドと同じ条件(パラメータ)を適用する。

 「ミッドサイズ(中)」は、ウエハー部分が露光領域の35%〜70%を占めるフィールドである。この場合は、ハードウェアと制御パラメータを最適化することで、フルフィールドと同等のレジスト充てん性能を達成する。

 「スモール(小)」は、ウエハー部分が露光領域の35%に満たないフィールドを指す。この部分では、フルフィールドと同じ性能を達成することはかなり難しいとする。

photo パーシャルフィールドを3種類に分けて対処方法を変える(クリックで拡大)

 フルフィールドと「ラージ(大)」の場合、レジストの充てん時間は1.5秒未満で済む。これは、インプリント装置1台当たりで15枚/時間のウエハー処理速度に相当する。

 「ミッドサイズ(中)」のパーシャルフィールドになると、必要な充てん時間が長くなることがある。その場合は、2秒くらいの時間がかかるとする。

 「スモール(小)」のパーシャルフィールドでは、所要時間は「ミッドサイズ(中)」よりも長くなる。どのくらいの長さが必要かは、明示されなかった。

photo パーシャルフィールドにおけるレジスト充てんの実験結果。右上は「ミッドサイズ(中)」のパーシャルフィールドに対して1.5秒間の充てん時間でインプリントを実施した結果。60%のパーシャルフィールドでは欠陥が発生していないが、43%のパーシャルフィールドでは欠陥(レジストの未充てん欠陥)が発生している。左下は、「スモール(小)」のパーシャルフィールドに対して2秒間の充てん時間でインプリントを実施した結果。数多くの欠陥(レジストの未充てん欠陥)が発生している。欠陥密度は1cm2当たりで5.3個である(クリックで拡大)

(次回に続く)

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