TDKはウェアラブル端末に適したBluetooth Low Energy(BLE)対応の通信モジュール「SESUB-PAN-D14580」を開発したと発表した。小型のICと同社独自のIC内蔵基板「SESUB」を用いることで、3.5×3.5×1.0mmの大きさを実現。同社によると、BLEモジュールでは世界最小クラスという。
TDKは2015年9月29日、Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.1)に対応する通信モジュール「SESUB-PAN-D14580」を開発したと発表した。
同製品は、Dialog SemiconductorのBluetooth Low Energy(BLE)対応SoC(System on Chip)「DA14580」を、TDK独自のIC内蔵基板「SESUB」を用いて内蔵することで、3.5×3.5×1.0mmの大きさを実現。同社によると、BLEモジュールとしては世界最小クラス(2015年7月調べ)となり、ディスクリートと比較して基板の占有面積を60%以上削減したという。
同製品に電池とアンテナを追加するだけで、BLEを使った機器を容易に作成可能である。無線出力は0dBm(標準値)。通信距離は、アンテナの特性に依存するが見通しで10mとなっている。インタフェースは、UART、SPI、I2C、GPIO、ADCを備えている。
同製品は、2015年7月から量産を開始し、月産30万個を予定している。サンプル価格は400円。ウェアラブル端末やPCアクセサリなどに向けて展開していくとしている。
同製品のキーワードは「ウェアラブル」という。今までウェアラブルは言葉として話題になりながらも、モジュールのサイズとバッテリー性能の壁が開発を難しくしていた。
同社は、2014年にもウェアラブル端末向けに小型サイズ(4.6×5.6×1.0mm)のBLEモジュールを展開している*)。しかし、顧客からウェアラブル端末に求められたサイズは“4mm角”だったという。従来製品と同様のデザイン性を持ったウェアラブル端末を開発するには、サイズを4mm角以下にする必要があったのだ。
*)関連記事:Bluetooth Low Energy対応の通信モジュール、IC内蔵基板で4.6×5.6mmを実現
同社は今回、内蔵するICにDialog SemiconductorのDA14580を活用することで、従来製品より小さい4mm角以下のモジュールを実現した。ICは小さくなると周りの部品のノイズを受けやすくなるが、SESUBでは基板内の配線層でシールド効果も果たすため、どのチャネルで使用したとしても安定した通信距離を保つといった特長を持つ。
さらに、DA14580は低消費電力といった特長も持つため、全体の処理における消費電力を従来製品と比較して50%低減した。これにより、「高性能で小型化した部品が求められる医療に活用するウェアラブル端末に引き合いが多くなっている。2016年には同製品を搭載した医療補助の機器も製品化される予定であり、これからは人の生活に直接役に立つウェアラブル製品が出てくるようになるだろう」と同社は語る。
なお、2015年10月7〜10日に行われる「CEATEC JAPAN」において、同製品を用いたウェアラブル端末のデモが行われる予定である。
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