物質・材料研究機構やNECなどの6機関は、小型センサー素子「MSS」を用いた匂いセンサーシステム実用化に向けて標準化を目指す「MSSアライアンス」を発足した。
物質・材料研究機構(NIMS)、京セラ、大阪大学、NEC、住友精化、NanoWorld AGの6機関は2015年9月29日、超小型センサー素子「MSS(Membrane-type Surface stress Sensor/膜型表面応力センサー)」を用いた匂い分析センサーシステムの実用化、普及に向けて標準化を目指す「MSSアライアンス」を発足した。
MSSとは、匂いの元となるガス分子やDNA、タンパク質、生体分子などの多様な分子を大気中と液体中で測定できるセンサー素子である。表面の感応膜に分子が吸着すると、表面能力が生じて電気抵抗が変化し、対象の分子を検知することができる。
従来のカンチレバー(片持ち梁)型センサーと違い、レーザー光が必要ないため小型化でき、かつ、従来と比べて約100倍の感度を有するなど性能向上が見込めるという。日常生活や医療などを改善するための原因を把握し、人間や機械が理解できる情報に変換するセンサーシステムの開発に貢献することが期待されている。
MSSアライアンスは匂いセンサーの業界標準を目指して、さまざまなガス成分を高感度で検出、識別する一連の技術の研究開発を行っていく。日用品や食品などの香り成分、人体から発する生体ガス成分などを計測、分析、識別することで、匂いを客観的に評価する新しい産業や文化を確立することを目的としている。
MSSアライアンス現在、企業や研究機関などの6機関で活動を始めるが、今後はさまざまな企業も参加可能なオープンな体制へ発展させていくという。
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