シンガポールが自動運転技術に力を入れている。東京23区と同程度の国土面積に550万人の人口を抱える同国では、年々渋滞の問題が深刻になっている。そこで政府が目を付けたのが自動運転だ。
シンガポールの運輸省(MOT:Ministry of Transport)と港湾管理会社であるPSAは2015年10月18日、港湾ターミナル間の貨物輸送のために自動運転技術を共同開発することで合意したと発表した。MOTは、Sentosa DevelopmentとST Engineeringとの間でも覚書を締結し、シンガポールの南にあるセントーサ(Sentosa)島において、自動運転シャトルサービスを提供する試験を行う予定だとしている。シンガポール政府は今回の調印により、国内の交通計画を幅広く展開していく上での重要なマイルストーンを示したといえる。
MOTと陸上交通庁(LTA:Land Transport Authority)は、上記の技術を活用することによって、シンガポール国内の交通渋滞を大幅に緩和できるだけでなく、さまざまなメリットを享受することが可能になるとして、以下の展望を掲げている。
シンガポールは、国土面積が700km2、人口は約550万人だ。アジアの多くの主要都市と同様に、人口密度が非常に高いことから、交通管理の問題を抱えている。こうした問題に対処すべく、シンガポールは長年にわたって、自家用車ではなく交通機関を利用することを推奨してきた。例えば、シンガポールで自動車を所有するには、自動車の本体価格と同程度の金額を支払って車両購入権(COE:Certificate Of Entitlement)を取得することが義務付けられている。一方、公共交通機関インフラは安価に利用でき、さまざまな方法で割引もされる。
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