キーサイト・テクノロジーは2015年10月29日、2016年度のビジネス戦略説明会を東京都内で開催した。リファレンスソリューションと計測コンサルティングビジネスを拡大し、2018年度の売り上げを現在の3倍以上である100億円を目指すとしている。
Keysight Technologiesの日本法人キーサイト・テクノロジー(以下、説明会では、同社の前社長・梅島正明氏*)とモジュールビジネスを担当する草薙仁氏が登壇。リファレンスソリューションと計測コンサルティングビジネスの拡大を強調した。
*)梅島正明氏は、2015年11月1日付で、キーサイト・テクノロジー社長を退任。
梅島氏は、「キーサイトは『ワイヤレス』『航空/宇宙/防衛』『デジタル・インフラ』『自動車・エネルギー』の4つの市場に注力する」と語る。それらの市場は、計測環境の複雑化と計測担当人員の不足という2つの課題があり、計測システムを構築するのに、膨大な社内工数と開発期間を要するとしている。
そのため、計測システムは自動計測やアウトソース化が求められている。しかし、アウトソースや、計測器ベンダーに頼った自動計測システムの構築には、自社の計測ノウハウを開示しなければならない。また、構築した自動計測システムの知財の所有権がユーザーにあるのか、計測器ベンダーにあるのかという問題も生じるため、自動計測の実現は容易ではないという。
そこで、キーサイトが戦略として掲げるのは、「リファレンスソリューション」(半完成自動計測システム)である。リファレンスソリューションは、特定のアプリケーションに特化し、システムの立ち上げや性能検証を支援するソフトウェアなどを提供する。「これまでは、キーサイトや計測器ベンダーが顧客にコンセプトレベルを提案するまでは行っていたが、計測の性能担保や自動化するソフトウェアの提供はしていなかった。そのため、顧客がリスクをとってシステムを構築する必要があった」(草薙氏)という。
リファレンスソリューションは、キーサイトが自動計測システムを80%程度まで構築。残りのおおよそ20%は顧客自身がカスタマイズできる部分として残し、カスタマイズするための基盤としてサンプルソフトウェアを提供する。これにより、システムの構築に掛かる工数を大幅に削減することができるので、顧客はコア業務へリソースを集中させることができる。また、カスタマイズ要素を含めシステムとして組み上げた場合にも、キーサイトが計測結果を保証するため、リスクの低減にもつながる。草薙氏は、「リファレンスソリューションの強みは、顧客が測定機器に選択の余地があること、設定の自由度があることである」と語る。
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