IoT向けSoCでは、ムーアの法則を追わず:最先端プロセスを適用する必要はない(2/2 ページ)
「IoT向けSoCは、ボタン電池1つで5〜10年動作するような機器に搭載される。このようなSoCに集積する低リーク電流のSRAMや高性能の不揮発メモリなどでは、ムーアの法則に沿って微細化した最新のプロセスを適用するのは難しい」(同氏)。
さらに、IoT向けSoCではコストも重要だ。不揮発メモリやミックスドシグナルRF回路などを追加していくと、レイヤー数が増える。最先端プロセスを適用しようとすると、コストは増大する。性能とコストのバランスを考慮すると、割に合わない場合も多くなる。
Freescale Semiconductorも、こうした「コストと性能のバランス」という圧力に直面しているという。同社のアプリケーションプロセッサ「i.MX」事業部門のバイスプレジデントを務めるRonald Martino氏によると、同社はIoT向けにも展開しているマイコン「Kinetis」で、40nmプロセスを使おうとしているという。28nmプロセスを採用しているi.MXシリーズや、次世代には16nm FinFETを採用することが決まっている同社のプロセッサ「QorIQ」に比べると、1〜2世代遅れたプロセスだ。
デジタルICでは最先端のプロセスが適用され、ミックスドシグナルICでは、成熟したプロセスが長く使われる傾向がある 出典:Freescale Semiconductor
だがFreescaleは、IoT市場のそれぞれのセグメントで最も重要視されている要件を見極め、コストと性能を最適化すべく、プロセスを選択している。
IHS Globalで主席アナリストを務めるTom Hackenberg氏は、「5年程前は、アナログやRF回路のプロセスは、デジタル回路に比べて3〜4世代遅れていた。だが今は、だんだんとそのギャップが狭まっている」と説明した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
- ARMから見た7nm CMOS時代のCPU設計(1)
ARMにとって「IEDM」は非常に重要だ。この会議で議論されるトランジスタ技術が同社のCPUアーキテクチャの行方を左右するからである。ARMは「IEDM 2014」で、CPU設計とデバイス・プロセス技術の関わりを解説する講義を行った。今回から、その内容を複数回にわたってお届けする。
- ASMLがEUVリソグラフィ開発の最新状況を公表(1)〜ArF液浸の限界
今回は、コストとパターン形成の2点について、ArF液浸とEUV(極端紫外線)リソグラフィを比べてみよう。ArF液浸では、10nm世代になるとステップ数と重ね合わせ回数が破壊的な数値に達してしまう。これがコストの大幅な上昇を招く。さらに、ArF液浸とEUVでは、10nm世代の配線パターンにも大きな差が出てくる。
- サブギガヘルツ帯Wi-Fi「IEEE 802.11ah」とは
規格策定が進む新しい無線LAN/Wi-Fi規格「IEEE 802.11ah」。802.11ahとは一体、どんなWi-Fiなのか。ユースケースや使用周波数帯といった基本からドラフト仕様、計測/試験における課題までを紹介する。
- IoTで変わる福祉機器、階段を上る車いすも登場
「NIWeek 2015」の3日目の基調講演では、医療や福祉の分野に貢献する技術として、階段を上れる電動車いすや、高齢者の歩行を助ける下肢用パワードスーツなどが登場した。単に医療機器・福祉機器を開発するのではなく、それらの機器から集めたデータを生かす仕組みが考えられており、IoT(モノのインターネット)と医療・福祉の世界を結び付けるような開発事例が紹介された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.