Micron Technologyが、Inotera Memoriesの全株式を40億米ドルで取得する。Micronはもともと約33%のInotera株を保有していたが、今回、残りの67%も取得することとなった。
メモリメーカーのMicron Technology(以下、Micron)は2015年12月14日(米国時間)、同社とNanya TechnologyのDRAM合弁会社である台湾Inotera Memories(以下、Inotera)の残りの全株式を、約40億米ドルで取得する契約に合意したと発表した。
Micronはもともと、Inotera株式の約33%を保有している。同社は今回、残る67%の株式を、1株当たり92米セントで取得するという。この取引によって、Inoteraの企業価値は約32億米ドルとなり、帳簿上では約9億米ドルの現金収支となる。
MicronのCEOであるMark Durcan氏は、カンファレンスコールの中で、「当社が今回、Inotera株式を取得することにより、事業運営モデルを簡素化できるようになる他、Inoteraとその従業員たちを今後長期にわたり守っていくことが可能になる」と説明している。
さらに同氏は、「今回の取引によって、DRAM業界に何らかの影響が及んだり、エンドマーケットにおけるMicronの位置付けが変化するようなことはないだろう」と付け加えた。
Micronは、Nanya Technologyとの間で、将来的にDRAM技術を2世代先までライセンス供与することを許可する覚書にも調印したという。
米国の市場調査会社であるIHSでDRAM/メモリ部門のアナリストを務めるMike Howard氏は、「Micronは既に、InoteraのDRAM事業部門を100%買収済みだ。そのDRAM製造量は、Micronの製造量全体の35%に達している。このため、Micronが今回、Inotera Memoriesの残りの全株式を取得しても、DRAM市場への影響はほとんどないとみられる」と述べている。
同氏は、EE Timesとの電子メールのやり取りの中で、「Inoteraは、これまで数年間にわたり、基本的にMicronの製造能力の一部として組み込まれてきた。それは今後も変わらないだろう」と述べている。
また同氏は、「Micronは今回の取引によって、さまざまな事業活動を一元化できるようになるとみられる。例えば、MicronがInoteraの日常業務を全面的に管理したり、直接Inoteraの設備投資を実施したりすることが可能になるため、生産性を徐々に高めることができるだろう。ただし、劇的な変化は期待できないようだ。私は会計士ではないが、Micronのプレスリリースを見ると、今回の取引は、キャッシュフローなどの会計帳簿上の判断に基づいて行われたのではないかと考えられる」と指摘する。
今回の株式取得によって、DRAM市場に重大な影響が及ぶことはないが、2015年の半導体業界における記録的な合併買収金額の増加には貢献することになる。米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、半導体業界において2015年に発表された合併買収の合計金額は、100億米ドルを上回るまでに増加したという。これは、半導体業界の過去5年間の年平均買収金額の8倍を超えている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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