セッション5のサブテーマは「アナログ技術」である。アナログ分野(メインテーマを「アナログ」とする講演セッション)では他に、セッション12とセッション21がある。最近のISSCCにおけるアナログ分野の講演論文をテーマ別に見ていくと、今回は発振回路とスイッチトキャパシタ回路、エネルギーハーベスティングの講演が多い。いずれもIoE(Internet of Everything)の要素技術である。
このセッションでは、性能指数(FOM:Figure of Merit)が278dBと高く、消費電流が5.8μAと低い水晶発振回路を東京大学が発表する(講演番号5.7)。発振周波数は39.25MHzである。
セッション6のサブテーマは「イメージセンサー」である。このセッション全体で9件の講演が予定されているなかで、日本の講演が6件と数多くを占める。内訳はパナソニックが3件と多く、その他はキヤノン、東芝、NHK放送技術研究所が1件ずつである。
特に注目されるのは、8K UHDTVに対応した超高精細画像を240フレーム/秒と高い速度で撮影するCMOSイメージセンサーの開発成果だ。NHK放送技術研究所とブルックマンテクノロジ、TSMC、静岡大学の共同開発グループが発表する(講演番号6.9)。画素数は3300万画素で、内訳は水平7728画素×垂直4368画素である。画素のサイズは1.1μm角。センサーのシリコンダイと読み出し回路のシリコンダイを貼り合わせた積層構造によって読み出しを高速化した。具体的には裏面照射型センサーの直下に3段のアナログ・デジタル変換回路(A/D変換回路)をレイアウトした。A/D変換回路は最初の2段がサイクリック型、後段が逐次比較型である。
ダイナミックレンジを123.8dBに高めたCMOSイメージセンサーも、注目の開発成果だろう。パナソニックが開発した(講演番号6.1)。CMOSイメージセンサーの光電変換部には普通、シリコンのpn接合フォトダイオードを使う。これに対し、パナソニックは光電変換部にシリコンではなく、有機光電変換膜(OPF:Organic Photoconductive Film)を採用した。リセット雑音を1.6電子に抑制することで、ダイナミックレンジを高めている。
(次回に続く)
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