テクトロニクスのオシロスコープ群で好評を得ているのが、オシロスコープに最大5つの機能を追加できる“6-in-1”、「MDO3000/4000Cシリーズ」だ。同社は、これを武器の1つとして、伸びしろのあるRFとパワー、そして自動車分野を狙う。
テクトロニクス(Tektronix)は、2016年で創立70周年を迎える。オシロスコープを「初めて商用化した」(同社)と自負する同社にとって、やはり最も柱となる製品群はオシロスコープだ。TektronixのMainstream Oscilloscopes部門でジェネラルマネジャーを務めるChris Witt氏に話を聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) まず、オシロスコープ業界の動向について教えてください。以前に比べてどう変わってきていますか。どんな分野でオシロスコープへのニーズが高まっているのでしょうか。
Chris Witt氏 われわれも、その疑問は常に頭に置いている。まず特徴的なのは、RF機器の設計や、RF測定に関わるユーザーが増えているという点だ。当社で大規模なユーザー調査を行った際、それが明らかになった。その理由として、機器の設計が複雑になるにつれて、EMIの測定がより欠かせなくなっていることが挙げられる。複数のFPGAを搭載している機器では、それらのFPGAが互いに干渉してしまうケースもある。
2つ目としては、無線機能を搭載した組み込み機器、いわゆるIoT(モノのインターネット)機器の設計に関わるユーザーが増加しているからだ。当社のオシロスコープユーザーの30%以上が、IoT機器の設計に関わっている。無線用チップやモジュールを機器に組み込むと、EMIなどの問題が増える。その結果、RF測定の必要性がさらに高まることになる。
われわれの顧客の中には、こうしたIoTのトレンドを意識し、今は無線関連の測定をしていなくても、いずれは必要になると考えているユーザーも多い。そのため、将来を見越してRF信号を観測できるスペクトラム・アナライザの機能を搭載した当社のオシロスコープ「MDO3000シリーズ」「MDO4000Bシリーズ」*)を購入し、投資効率を高めようとする傾向も目立っている。
*)オシロスコープに、スペクトラム・アナライザの機能をハードウェアとして統合したミックスド・ドメイン・オシロスコープ。オシロスコープの中には、FFT(高速フーリエ変換)によって、スペクトラム・アナライザ同様、周波数解析を行える機種もあるが、MDO3000/4000Bシリーズは、FFTではなくハードウェアとしてスペクトラム・アナライザを搭載している。
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