Googleが、ドローンから5G(第5世代移動通信)を提供する計画「Project SkyBender」に取り組んでいるという。
The Guardianの報道によると、Googleは、太陽光発電のドローンを使って空中から5G(第5世代移動通信)を提供する計画「Project SkyBender」を推進しているという。
Project SkyBenderは現在、米国ニューメキシコ州にある商業用宇宙港「Spaceport America(スペースポート・アメリカ)*)」で試験を進めている。巨大な気球を飛ばして無線LANのホットスポットを提供するプロジェクト「Project Loon」と同じ開発チームが、Project SkyBenderを担当しているという。
*)Spaceport Americaは、実業界の大物であるRichard Branson氏が設立したVirgin Galacticが、ニューメキシコ州の都市Truth or Consequencesにおいて建設したものである。
Project SkyBenderは、Spaceport Americaの「Gateway to Space」ターミナルに、1万5000平方フィート(約1400m2)の格納スペースを確保していると報じられている。
GoogleはProject SkyBenderにおいて、ミリ波帯を使って無線伝送を行う、ミリ波伝送技術を採用している。既存の4G通信と比べると、最大で40倍もの高速無線伝送を実現できる見込みだという。
The Guardianによると、Googleは現在、高空飛行しているドローンから受信したミリ波を利用できるようにするため、新型の太陽光発電ドローン「Centaur」を用いて、フェーズドアレイアンテナから無線信号を集中的に伝送する試験を行っているという。
Googleは2014年に、新興のドローンメーカーだったTitan Aerospaceを買収したが、それ以降に開発を進めてきたドローン「Google Titan」も、今回のプロジェクトには使われているという。
さらに、GoogleはFCC(米国連邦通信委員会)から、ニューメキシコにおいて2016年7月まで試験を継続することができる許可を取得しているという。
ミリ波技術の標準化を策定しているETSI(欧州電気通信標準)は、ミリ波技術を採用することで得られる数々のメリットの1つとして、利用できる周波数帯域幅を挙げている。ミリ波帯は、低い周波数帯域に比べて、利用できる帯域幅が桁違いに広いのだ。
米国ワシントン大学シアトル校の電気工学部教授であるJacques Rudell氏は、The Guardianのインタビューに対し、「既存の携帯電話帯域は非常に混雑していることから、ミリ波帯は新しい帯域へのアクセスが可能であるという点で、大きな強みを持っている」と述べている。
しかしETSIによると、ミリ波帯域を使用するには、さまざまな障壁が立ちはだかっているという。例えば、国によって規則が大きく異なることや、主要コンポーネントが未成熟であるために設備費が高いことなどが挙げられるとしている。また、ミリ波技術そのものの信頼性が不十分であるという点も指摘する。
Googleは2014年10月、FCCに、さまざまな周波数帯において多彩な試験を実施するための申請書を提出している。その中には、71G〜76GHzおよび81G〜86GHzのミリ波帯も含まれているという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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