「MWC 2016」の焦点は5Gの実用化 : 課題は技術よりもビジネスモデルの構築か (2/2 ページ)
NokiaはMWC 2016で、5Gネットワークを使って走行する自動運転車のデモを披露する予定だという。ただし、実際のクルマを使うわけではなく、模型の自動車をテーブルの上で走らせるというものだ。このデモでは、模型車は複数のエッジクラウドに接続されるという。自動車の走行に合わせてクラウドからクラウドへコンテキストを送信することで、自動車を完全に制御するとしている。
MWC 2016で多くの5G向けデモが披露される予定とはいえ、5Gには技術的な課題もまだ残っている。例えば、5Gで必要になるエアインタフェースと無線アクセス技術を定義しなくてはならないと、Jarich氏は述べる。
さらにHeld氏は、「新しい無線ソリューションと新しいアーキテクチャをいかに組み合わせるかにも焦点が当たるだろう」と付け加えた。
標準化の問題もある。3GPPは、5Gの規格策定をようやく開始したところで、ワークアイテムは2016年中に決まる予定だ。欧州の5G推進プロジェクトである5GPPPも積極的に動いている*) が、多くの関係企業/団体は、2019年に開催される予定の「World Radiocommunication Conference(WRC)」での動きも考慮しなくてはならないだろう。
*)関連記事:5Gの課題は技術よりも「各社の意見の一致」
5G PPPのスケジュール。フェーズ(Phase)1〜3の時期が、3GPPのリリース14〜16に重複している(クリックで拡大) 出典:5G PPP
Jarich氏もHeld氏も、MWC 2016でのデモが、次回のWRCに役立つものとなるよう期待していると語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
5Gにつながる1Gbps LTE、エリクソンが披露予定
エリクソン・ジャパンは2016年2月17日、「Mobile World Congress 2016」の出展内容のハイライトを紹介する記者説明会を開催した。5G(第5世代移動通信)につながる技術として、1Gビット/秒(Gbps)以上のデータレートを実現する”Gigabit LTE”や、IoT向けLTEとして策定が進んでいる規格「NB-IoT」「LTE-M」をサポートする、基地局向けのソフトウェアなどが展示される予定だ。
自動車業界にとって5Gとは何か(前編)
5G(第5世代移動通信)の要件の1つに、1ミリ秒以下の遅延がある。こうした低遅延によって、5Gは自動車にも採用できると期待されている。では、自動車業界は、本当のところ5Gをどう捉えているのだろうか。
5Gはユーザーの利点見えず、キャリアとメーカーにも“温度差”
2020年の実用化が目標とされている5G(第5世代移動通信)だが、いまだに標準規格が決まらない状態が続いている。5Gにおいて最も問題なのは、利用者目線でのメリットを明確に打ち出せていないことだ。さらに、5G導入に対する積極性については、通信事業者(キャリア)とメーカーの間にも“温度差”があるようだ。
5G向け変調方式をめぐる研究開発が活発化
5G(第5世代移動通信)を実現する要素技術の1つに、新しい変調方式がある。多くの場合は、既存のOFDM(直交周波数分割多重方式)をベースにしたものだ。現在、変調方式をめぐる研究開発が活発になっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.