今回、パナソニックと東北大学は、NANOMETをコア材として積層したステータ(固定子)コアにコイルを巻回した直径125mmのモータ−を試作。このモーターは、電磁鋼板のモーターとほとんど同じ形状に加工しており、「世界で初めて」(パナソニック)NANOMETを用いたモーターを組み込んだ圧縮機の駆動に成功したという。
NANOMET搭載の試作モーターは、電磁版のモーターと比較して鉄損を60%減、効率を3.1%向上した。同試作モーター搭載の圧縮機のCOPは2.9%向上。パナソニックは、「2.9%は、求められる省エネ性能に対して十分に高い数字と思っている」と語る。
牧野氏は、試作モーター開発の成功について「NANOMETのような軟磁性材料は、特性は優れているが応力に弱い。材料に応力がかかったとしても劣化しない配慮は行っているが、実際の環境で積層するのは難しい。今回、パナソニックがNANOMETに応力がかからない工夫を行ったことで、モーター/圧縮機の試作に成功した」と語った。
今後は、家電や産業機器への搭載に向けて、量産技術の開発を進めコストダウンを図る。パナソニックの生産技術本部で本部長を務める井上博之氏は、「生産技術本部は、工場/商品を進化させるモノづくりの戦略統括を行う部署であるため、商品化は他の事業部が引き継いで行う形になる。そのため、商品化の時期は明言できないが、パナソニックが100周年を迎える2018年をめどに研究開発を進めていきたい」と語る。
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