さて、今回はいよいよEtherCATでホームセキュリティシステムの構築を開始します。「江端さんのDIY奮闘記」の名に恥じない作業風景をご覧いただきましょう。
FA(ファクトリオートメーション)を支える「EtherCAT」。この超高度なネットワークを、無謀にも個人の“ホームセキュリティシステム”向けに応用するプロジェクトに挑みます……!! ⇒「江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る」 連載一覧
EtherCATのベンダーや、ハードウェアエンジニアの皆さんの善意のご協力のおかげで、この連載は、今ここにたどりついています。
ここで謝辞の言葉を申し上げるのは簡単です。しかし、それでも結局のところ、私はこう思うのです、
一番エラいのは、この私よ と。
今回の連載では、確かに「応援」もいただきましたが、それと同じくらい「批判」も受けました。
少なくない実験費を小遣いから捻出し、週末エンジニアの日々を費やし続ける私に対して、心ないコメントが取り交されていることを ―― 私は知っています。
EtherCATでホームセキュリティシステム? 江端ってバカか? 通信トラフィックの計算もできないのか?
制御LANなどという、一般人には一生縁のないネットワークの話の、どこで売っているか分からないようなレアなマスタやスレーブで、何、がんばっちゃっているわけ? こんなニッチなフィールドの技術コラムが、一般の読者にミートすると本気で思っているの?
コスト計算ができてない上に、マーケティングもダメダメ。マスタやスレーブに24時間通電しなければならない上に、監視時間が1/1000秒単位? あいつ、自宅に侵入する花粉やインフルエンザウイルスの侵入検知でもするつもりか?
そんなにホームセキュリティが欲しいなら、セコムに頼めばいいのに
やかましい! やかましい!! やかましいーーー!!!
うるさいわね、私の勝手でしょ?
確かに、私の会社の研究所の所員も、この話題には(全く)触れてこないし、 (先日インタビューに応じていただいた)日本ベッコフの社長のKさんもテクニカルアドバイザーのOさんも、確かに「複雑な表情」をされていたように思うわ。
それに、なにより私が分っているわよ。ホームセキュリティやるのにEtherCATがオーバースペックであることくらい! でも、仕方ないじゃないの。EtherCAT大好きなんだから。
こんな、美しい仕様(プロトコル)のネットワークが、この世にある?
1500バイトの動くメモリ(フレーム)がネットワークの中を光の中で疾走するのよ? そのフレーム目がけて、ご主人様やメイド達が必死でタックルするのよ! 「美しい」じゃない?
私だってね、2000年くらいに、同じような発想の制御システムを思い付いていたのよ(特許出願しました(本当))。でもね、ベッコフさん(ドイツのベッコフ本社の社長さん)は、それより10年も前にそのアイデアを製品化していたのよ(Lightbus)。
――ふっ、認めるわ。わたくしの完敗よ、ひろみ
今の私は、こう言いながら、コートを去るお蝶夫人のような気持ちです。
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